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景気指数低下。なぜ政府の景気判断は国民の実感と離れているのか?

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昨日は折角景気の良い話を投稿できたというのに、今日は一転”景気の悪い”話をしなくてはならなくなりました(´・ω・`)

 

記事によりますと

 

景気の状況を示すことし1月の「景気動向指数」が、3か月連続で悪化し、内閣府は基調判断を下向きに修正しました。これは1月の時点で、景気がすでに後退局面に入っていた可能性を示す内容で、「今の景気回復が戦後最長になったとみられる」とする政府見解とは異なる結果です。

(中略)

これを受けて、内閣府は景気の基調判断をこれまでの「足踏みを示している」から「下方への局面変化」に修正しました。

 

とのこと。

去年、日本政府は「いざなぎ景気超え! 日本経済は堅調に回復!」などと大威張でしたが、内閣府がまとめた景気動向指数がこれをバッサリと否定してしまった形です。

 

しかし。

この数字を突きつけられても、内閣は「景気回復基調にあることは変わらない」と言っています。

 

一体どういうことでしょうか?

 

景気というのは”気分”で決まる?

これを受けて菅内閣官房長官が何と言っているかというと・・・

 

「景気動向指数は各経済指標の結果をそのまま指数化するため、本来であれば景気の基調とは分けて考えてもよい要因の影響もあると聞いている。政府の正式な景気判断は、さまざまな指数を分析するとともに、経済環境や企業の景況感など、総合的に勘案して判断しているところだ」

 

だそうです。

難しい言い回しをしていますが、簡単に言いますと「数字は所詮数字。景気はいろんな要素で成り立ってるから、景気が良いか悪いかは内閣が判断する。内閣が『景気が回復している』と言ったら、数字がどうだろうが回復してるだよ。黙ってろ。」ということです(「黙ってろ」は私が付け加えましたww でも、そう言ってるようなもんでしょ)。

 

「環境や景況感などで総合的に判断する」とか偉そうに言ってますが、結局「内閣の気分次第で決める」ということです。

以前麻生大臣が野党時代に、とある国営放送の番組で言っていました。

 

「財布に一万円入っていたとして、『一万円もある!』と思うか『一万円しかない・・・』と思うかは、気分次第だ。景気というのは文字通り気分次第。」

 

だと。

だから、国の景気判断も政府の気分次第で決まる、ということですね(笑)。

うん。まぁ、首尾一貫してますねww 珍しくぶれてないww

 

景気か不景気かを誰が判断するか

国の気分次第で景気判断が決まるとは言え、もちろん「国」というフワッとした抽象的な存在が決めている訳ではありません。実際には内閣府に「景気動向指数研究会」という機関がありまして、その人たちがさまざまな指標を調査しながら”総合的に”判断しています。

 

一応ホームページがございますので、興味がある方はこちらをご覧ください。

景気動向指数研究会 - 内閣府

 

 これによりますと9つの経済動向を示す指標があって、それを元に”総合的に”判断しているそうです。

ちなみに、その9つの指標というのは

 

・生産指数(鉱工業)
・鉱工業用生産財出荷指数
・耐久消費財出荷指数
・所定外労働時間指数(調査産業計)
・投資財出荷指数(除輸送機械)
・商業販売額(小売業 前年同月比)
・商業販売額(卸売業 前年同月比)
・営業利益率(全産業)
・有効求人倍率(除学卒)

 

です。

まぁ、どうでも良いですね。細かい内容は(笑)。

ただ、一つここで強調しておきたいのは、「総合的に判断する」という言葉の恐ろしさです。

 

「9つの指標があって、それが何個以上、どれくらい悪化したら景気後退とする」というような明確なルールがあれば良いのですが、そんなルールがないのです。あくまで”参考にする”だけで、研究会の人たちが”総合的に判断する”。つまり、実際の数字がどうだろうが、研究会の参加者たちの判断で何とでも言えるということなのです。

 

ちなみに、この研究会のホームページに去年の12月13日に行われた会議の議事録が掲載されていて、下記のような記述があります。

 

「昔の景気と今の景気はずいぶん変わったところもあり、景気とは一体何かというのは本研究会が抱えているテーマ。」

 

これ・・・すごくないですか?

難しい表現になってますが、要するに

 

「景気って言葉は難しい。景気って一体何だろうね。分かんないね。」

 

ということなんですよww

内閣の景気判断を左右する研究会のお偉いさん方が一時間以上も議論しておいて、結論がこれwww

 

指標や統計の見方が間違えれば判断も間違える

奇しくも先日の国会答弁において、厚労省の不正統計問題が官邸からの指示だったんじゃないかという質問に対し安倍総理は「統計が間違えればマクロ(経済)政策も間違える。正しいマクロ政策を行うには、正しい統計に基づかなければならない。官邸からそのような統計操作を指示するわけがない。」というような趣旨のことを言っていました(テレビでチラッと見たので詳細はちょっと違うかもしれません)。

 

それは全くその通りで、統計が誤れば政策も誤ります。

そして統計というものは人間が解釈しなければ”ただの数字の羅列”に過ぎず、統計を意味ある物にするためには、何らかの政治的、哲学的な解釈が必要になります。

そのような解釈を与え、統計に意味を持たせ、それを国民の生活のために活用するのが政治家の役割です。

 

何十年も経済学を学び、学会でそれなりの地位にいながら「景気って何だろうね。分かんないね。」などという研究会が示した”景気動向指数”とやらに政治家が左右されるようなことがあってはなりません。

そのような研究会が示した指数よりも、国民生活を実際にその肌で感じ、国民生活のために何ができるのかを考え抜く姿勢。それこそが政治家に求められる矜持なのではないでしょうか。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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