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大阪万博が呼び込む、”万博後”の悪夢。これこそ将来世代へのツケである。

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2025年に大阪で万博が開催されることが決定しました。事前の期待も高かったですし、決定して時には大阪の道頓堀では「大阪コール」(?)が巻き起こったそうですね。

ああ良かった、良かった。これで大阪経済も安定だ!
…となるのでしょうかね、本当に。
 
大阪万博を支援しているオフィシャルパートナーのリストに、次のような名があります。
 
シーザーズ・エンターテインメント社
 
これらはその筋では有名なカジノ関連企業。実はこの他にも3社同じ米国のカジノ関連企業が名を連ねています。
 
 
なぜこのような企業が万博の支援リストに名を連ねているのでしょうか。実はここに大阪が万博誘致を推進した本当の理由があるのです。
 

万博とIR事業はパッケージ

結論から言うと、そもそも万博とIR設備…というかカジノの建設はセットで進められている話なのです。
というのが、その両方の建設が予定されているのが、どちらも人工島「夢洲(ゆめしま)」であり、何なら隣に作られることになっているのです。
しかし、この夢洲は産業廃棄物を廃棄するための土地であるため、鉄道などの交通機関が全く整備さらていません。船の他は橋とトンネルが一本ずつあるのみ。
 
当然それではカジノを作ることはできませんので(作ること自体はできるでしょうが、アクセスがメチャクチャ悪いカジノの建設に投資する人はいませんからね)、何とかして鉄道を通す必要があります。それに鉄道以外の環境整備も当然必要です。何と言っても現状は産廃地区なのですから。
 
そこで問題になるのが財源です。
地下鉄を夢洲に通すだけでも730億円。環境整備を含めればゆうに1,000億円を超えます。そんな巨額の費用を一自治体が(正確には大阪府大阪市で二自治体ですが)単独で負担することは不可能です。
そこで目を付けたのが、カジノと万博の「パッケージ誘致」なのです。「大阪のカジノ建設のために国税を投入しろ!」と言っても国民は納得しません。ですが、「万博のために国税を投入しろ!」と言えばどうでしょうか?
私のようなひねくれ者はさておき(笑)、ほとんどの人は「それなら仕方ないか」と納得するのではないでしょうか?
 
もちろん、万博会場として夢洲の土地を使うとして、万博が終わればその"元"会場はどうするのか?という課題はあります。万博会場の後をどう活用していくかで頭を悩ませることになるでしょう。今までの例で言えば、大概が広い公園か何かになって、年に数回市民イベントが開かれるような市民交流の場になる可能性が大きいです。
そこにカジノが入ればどうなるでしょうか?
カジノ客目当ての施設や店舗が次々と進出し、カジノ王国となるかもしれません。自治体が活用に頭を悩ませなくても、カジノ関連の経営者たちが夢洲を活用して自治体には税収だけが入ってくる。そんな皮算用を考えている人達も多いかもしれません。
 
ですが、それで本当に良いのでしょうか?
 

万博が呼び込むカジノが招く悪夢

カジノ関連法案が提出された時は、「それによって外国人客を呼び込む」などと言われていましたが、実際に政府がカジノ設立による集客を試算した際、来場者のうち8割が日本人客ということになっています。
 
また実はIR関連法案には「カジノ経営業者に、客にギャンブル資金を貸し付ける許可を与える」条文が入っています。その上、政府は貸し付け業務自体には年収の三分の一以上貸し付けてはいけないという規制をかけていますが、このカジノの貸し付け業務においてはそのような規制をかけていません。
つまり、カジノに来る客はカジノ経営者から事実上いくらでも借金できることになっているのです。
 
 
そのような環境でカジノが設立されればどうなるでしょうか?
「カジノにはまって財産失うような奴は自己責任」。それは確かにそうかもしれません。私は酒もタバコもギャンブルも一切やりませんので、それで破産したような人達に同情するつもりはこれっぽっちもありません。
しかし、実際それで経済的に追い込まれた人達は借金返済のためにどうするでしょうか?
「こんなことをしていては駄目だ。明日からまともに働いて、少しずつでも借金を返していこう!」と一念発起して真面目に働くでしょうか?
私にはとてもそうは思えません。麻薬取引、強盗、詐欺などなど"金儲けになる"犯罪に走る可能性が高いのではないでしょうか。自分や周りの人達がそのような犯罪に巻き込まれたとしても、「そんな人達がいそうな所に行くから悪いんだよ。自己責任」「運が悪かったね」とか言う言葉で済ませられるでしょうか?
そもそもそのような犯罪の温床となるような施設を作ったことが問題だ、と考えるのが自然ではないでしょうか。
 
しかし、そのような状況に陥ってしまった後で「やっぱりカジノは良くないから撤退して貰おう!」と言ったところで時すでに遅し。その時にはがっつり利権構造が確立されており、カジノ業者だけでなく観光業や運送、環境整備に関わる人達と実に多くの人間がカジノありきの構造に絡め取られてしまっているため、そのカジノに撤退を求めるなどということは出来ないのです。全ては後の祭りなのです。そうアフター・カーニバルなのですよ!
 
そのように国家や地方自治体が関わる公共性の高い業務というのは、一旦スタートしてしまうと影響が長期間に及ぶもの、あるいは二度と取り返しがつかないものというものが沢山あるのです。一時的な経済的利益などのために易々と取り組んではならない。失敗すれば撤退すれば良い、あるいは潰れてしまっても最悪その会社の人間たちにしか影響の及ばない民間企業と同じ次元で考えてはならないのです。
 
本来「規制」というのは、そのように安易な方策によって将来的な禍根を残さないための防衛策でもあるはずなのですが、公共機関は無駄や規制が多くスピードも遅い!民間企業万歳!民間主導で進めれば全て上手くいく!という「民間礼讃主義」によってそのような「良い規制」まで撤廃してしまいました。
その上、今回の夢洲のカジノのように、万博という美しい看板に誤魔化されて、自らの首を絞めることになる事業誘致が決まったことで、やんややんやとどんちゃん騒ぎをしている訳です。
 
 
万博終了まではインフラ整備も進み、それによる経済効果もあるので、良い夢が見れるかもしれません。しかし、その後には何十年…もしかしたらそれ以上に及ぶ悪夢を引き起こすことになるでしょう。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
 

 

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