世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

アメリカに訪れる不法移民は元々アメリカが生み出した「自由競争の犠牲者」だ。

f:id:Kogarasumaru:20181127224510j:plain

 昨日はフランスの各地で発生している「黄色いベスト運動」と呼ばれる暴動について取り上げました。

狙っている訳でもないのですが、今日はこちらです。

 

連日報道されているメキシコとアメリカの国境で騒動になっている移民問題

中南米からアメリカを目指して徒歩で移動している5,000人近くの移民が、アメリカとの国境近くの都市ティファナに到着。その内の数百人がアメリカの通関手続地になだれ込み、アメリ国境警備隊はその後、メキシコ側の国境に向かって催涙ガスを使用したと報じられていています。

 

アメリカの国境警備隊の数も6,000人規模にまで増員されているようですが、それでも先月、不法に国境を越えた後、拘束された人は6万人に以上。その数が減る兆しはなくアメリカの国境の街では、不法移民の増加に対応が追いつかなくなっているようです。

 

このような移民の大移動に対し、トランプ大統領が強行姿勢を取っているのは周知のとおり。上記の催涙ガスもそうですが、アメリカ当局に拘束された人々は脚にGPS装置を取り付けて監視対象とされています。

このようなトランプ大統領の姿勢に対し批判が集まっていますが、本当にトランプ大統領の対応は非難されるべきことなのでしょうか?

 

移民騒動は元をたどればアメリカのせい

まず前提として、私は別にトランプ大統領の対応を人道的な意味においても「正しい!」と評価するつもりはありません。

というか、そもそもなぜ中南米から移民がアメリカに押し寄せることになったのかを考えなくてはなりません。

理由はいくつもありますので一概には言えませんが、少なくともメキシコからの不法移民がここ数年増加している理由の一つは、NAFTA(北米自由貿易協定)とアメリカの農業メジャーであるモンサント社GMO(遺伝子組み換え作物)によるメキシコ農業の破壊です。

 

先日の投稿でも取り上げましたが、アグロバイオメジャー企業である「モンサント社」はF1品種と呼ばれるトウモロコシの人工種子を作り上げました。

FI品種とは強力な農薬にも全く影響を受けないように遺伝子操作された強靭な人工種子のこと。この種子とこの種子を守るための農薬(グリホサートという種類ですが、日本では「ラウンドアップ」という商品名の方が有名ですね)をセット販売することで、莫大な利益を上げています。

しかも、その種子は雄性不稔(ゆうせいふねん)といわれる品種改良(改悪?)がなされており、花粉が作られないため受粉することができません。つまり、一度実をつけたらそれっきり。次の収穫の際にはもう一度そのグローバル企業から種子と農薬を買わなければなりません。
なお、この農薬(グリホサート)も最初はよく効くのですが、年々雑草の方に耐性がついていくため徐々にさらに強力で多くの種類の農薬を使わなければならなくなります。一旦F1を使い始めると一生逃れることができない、という素晴らしい収益システムになっている訳です。

 

メキシコを壊滅させた遺伝子組み換え作物

このF1品種のトウモロコシがメキシコをNAFTA(北米自由貿易協定)という”自由貿易”によって、アメリカからメキシコに大量に流入しました。もちろん、

 

アメリカの広大な土地

・機械化

・グリホサートという強力な農薬とそれに耐えるF1品種

 

という超強力トリオによって実現された激安の作物です。

これにメキシコの穀物市場はあっという間に席巻されてしまいました。

 

実際、アメリカからメキシコへの穀物の輸出は、NAFTA発効前と、発効十年後では、トウモロコシが410%増、米が520%増。穀物以外でも、牛肉が280%、豚肉が700%、鶏肉が360%も増加しました。

こんな事をされてはメキシコの家族経営農家はとても太刀打ちできず廃業に追い込まれます。

 

また、NAFTAによって自由な貿易の扉が開かれ、モンサント社製の「安いGMO種子と強力な農薬グリホサート」がセット販売されたことにより、メキシコの農業にもGMO種子が浸透。国内の大豆とトウモロコシ生産の30%、コメは実に70%がGMO農法で栽培されていたといわれています。

さらに恐ろしいことに、そのようなGMO種子の影響はそのトウモロコシや大豆が作られる耕作地に限定される訳ではありません。なぜなら「花粉が飛ぶ」からです。

考えてみれば当たり前ですが、種子というのは花粉が受粉することで生まれます。ですから、当然様々な土地にそのGMO種子の花粉が飛び交うことになります。実際、モンサント社主導による25万ヘクタールという広大な土地の大豆の耕作地の隣にあった”ハチミツ畑”に、GMO種子の花粉が飛来。「遺伝子組み換え作物が混入した」ということで、メキシコからヨーロッパへのハチミツの輸出が禁止されました。

 

このような状況がメキシコ農家を廃業に追い込み、都市部への人口流出による地方の衰退。そして、経済的に追い込まれた人たちがアメリカへ次々と不法移民として移り住んだという訳です。

 

法治国家としての判断の難しさ

どう思われますか?

私はこの点に関して言えば、アメリカに不法移民が増えたことは

 

「いやいや、元々お前らが仕掛けたことだろうが!!」

 

という怒りを禁じえません。

そういう意味でも「アメリカが何とかしろや!」とは思います。心情的には心の底からそう思います。

 

ですが。

ですが・・・・現代の世界は基本的には法治国家なのです。

そしてその法治国家の国々が相互に関係を持つ国際社会においては、どれだけ残酷であっても「法は守らねばなりません」。その意味では、残念ながらトランプ大統領の対応は正しいとしか言いようがありません・・・・悔しいですが・・・。

いくら元の原因の相当数がアメリカのせいであっても、アメリカ国民の生活や労働、安全を守るためには少なくとも不法入国の移民・難民は排除しなければならない。それは国家元首としては正しい選択であるという一面もあり、単純に「トランプは冷徹な排外主義者だ」と責め立てれば良いというものではないということも私達は理解しておく必要があるのではないでしょうか。

 

それにしても、昨日投稿したフランスの暴動にしろ、今回のアメリカ国境での小競り合いにしろ、そのどちらにも共通するのが「自由貿易」という名の美辞麗句の下に推し進められて来た弱肉強食の世界です。

何物にも束縛されない自由。徹底的に他者から利益を貪りとる自由。そんな自由が本当に我々を幸せにするのでしょうか?

他者の気持ちを思いやり、節度と責任感という社会の調和を保つための最低限の枠組みを持った上での自由こそが私達の暮らしを豊かにするのではないでしょうか。

 

所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱ければ死ぬ。

(by 志々雄真実 @るろうに剣心)

 

そんな強者からの一方的なルールに絡め取られた世界にだけはなって欲しくない。

そんな”自由”なんてクソくらえ!!!

 

今回も最後までお読み頂きありがとうございました😆

日産・ルノーだけじゃない。パリも大炎上。フランスがいよいよ窮地に追い込まれている。

f:id:Kogarasumaru:20181126224721j:plain

どこぞの自動車メーカーの不正会計によりフランスが急遽注目を集めていますね!

そんなフランスの中心地と言えばパリ。パリと言えばパリジャン、パリジェンヌ! オシャレに興味がある人には正に聖地とも言える都市の一つですが、実は最近のパリは、特に凱旋門シャンゼリゼ通りの近くは治安の悪化が叫ばれて久しい都市となっています。そんなパリで恐ろしい事件が起こりましたね。

 

なんとフランス全土で28万人以上が道路を遮断する大規模が発生。しかも24日のデモにはフランス国内で約2万3000人、シャンゼリゼ通りでは約5000人が参加。治安部隊に物を投げつけたり、車に火をつけるなどデモ隊の一部が暴徒化し、治安部隊は催涙ガスなどを使って対抗した。フランス全土で130人、パリ市内では42人が逮捕されたそうです。

 

記事によると

バリケードが築かれた大通りでは横倒しされた車両が炎と黒煙を上げ爆発。「マクロンうせろ」と大統領を批判するプラカードなどを掲げるデモ隊と治安部隊は数時間にわたり衝突を繰り返し、催涙弾の発射音やサイレンが鳴り響き凱旋門が煙にかすむ大通りは、緊迫した状況が続いた。

模様。

この一連のデモは、燃料価格の高騰に抗議する「黄色いベスト運動」の一環として始まった。参加者は、道路工事で作業する際などに使用する黄色い安全ベストを着用しているそうです。

まさにあれですね・・・・中国の三国志に詳しい方ならご存知の黄巾の乱です。リアル"真・三國無双 in Paris"といったところでしょうか(不謹慎ですみませんm(_ _)m)。でも、そんな洒落を言って気分を落ち着けないといけないほど、驚くべき事件だと思います。

 

下記のロイターの記事には事件の写真が多数掲載されています。

是非一度見て頂きたいですが、とても「ファッションの聖地パリ」とは思えない恐ろしい光景が広がっています。

 

この写真をみるだけで実に恐ろしいことが今正にフランスで起こっていることが分かります。・・・が、逆に驚くべきほど日本のメディアでは取り上げられていませんね。

逆にビックリですが、日本のマスコミが取り上げない理由は明らかです。

 

それはフランスの前回の総選挙で、現政権のマクロン氏を若くて格好良い自由の騎士として持ち上げた手前、彼が推し進めている自由主義的&グローバリズム的な政策により国民の憤懣が鬱積し、支持率は軒並み急落(現状では何と27%)。挙げ句の果てに今回のような暴動が発生した訳です。

マクロンをあれだけ支持した手前、マクロン政権のこのような混乱状態には見て見ぬふりを決め込みたいのでしょう。

 

それはそれで良く分かります。分からんけど、気持ちだけは分かります(笑)。

 

ただ、その一方で数少ない今回に暴動に関する記事に対して、いくつか「フランス人は土民」「暴動しても何にもならないのに馬鹿だ」というような意見を目にしました。

個人の主義主張を批判するつもりはありませんが、このような反応を目にすると「何だかんだ言っても日本は"まだ"幸せだな」と私は思うのです。

今日はそんな話を一つ。

 

そもそもフランスの環境悪化は日本人が想像を遥かに超えている 

日本が幸せだと思う理由の一つは、フランス人もただ溜まった鬱憤のはけ口としてこんな暴動を起こしている訳ではなく、生活環境がここまで追い込まれた結果であるということ。

フランスはここ10年以上失業率が9%以上という高止まりになっていますが、特に24歳までの若年層では30%を超えるという異常事態が続いています。30%というと4人に1人以上ですからね・・・。町中で石を投げれば失業者に当たるんじゃないかというくらいの確率です。

また、移民や難民の数も年間数十万人単位で増加。移民を中心とした貧困層とのトラブルも相次いでいるのは広く知られており、暴動は今回だけでなくフランス中で多発する有様となっています。

下記のニュースはフランスの有名な都市ナントで起きた事件を報じたものですが

 

ナントでは市内の複数の貧困地区で、怒った若者たちが警官隊と衝突。放火された車両や割られた建物の窓ガラスが路上に散乱している。5日未明には、図書館や保育所、薬局など複数の建物や車40台以上が放火されたほか、約1000人が「アブ(男性の名)のために正義を」と叫びながら抗議デモを行い、男性が死亡した状況について真実が解明されるよう要求した。 

 

一年前に行われた総選挙で選ばれたフランス大統領もそのような事態を収集するどころか、年金受給年齢の引き上げ、労働規制を緩和し、雇用を不安定化。公共インフラの民営化、移民受入の拡大など、典型的なグローバリズム&新自由主義的政策を推し進めることで、むしろ国民の分断を加速させています。

生活環境は悪化、経済状況も悪化、街の安全は失われ、ましてや国家元首までもがそれを促進するような政策を進める・・・・。今回の暴動はそんな絶望に追い込まれた人間たちが必死に叫び声ではないかと思えます。

 

そのようなフランス人達の絶望に対して「土民www」などと断じて馬鹿にするのは、想像力の欠如と言わざるを得ません。ましてや、安倍政権が移民受入拡大などの新自由主義的政策を推し進め、多くの国民が「移民受入やむなし」「民間企業に任せれば全てうまく行く!」などと安倍政権の間違った政策を礼賛している状況では、今のフランスの状況は正に「明日は我が身」なのです。

むしろフランスを反面教師にして、今の日本がどうするべきか?を考えるべきではないでしょうか。

 

フランス人の叫びは「主権者」としての意識が強固であるからこそ

そして私が考える「日本がなんだかんだで幸せである」というもう一つの理由。それは

何だかんだ言って言って日本人は「国民主権」という概念に対する考えが甘く、
 
「主権を保持するのは自分たちであるということ」
「主権を行使するのも自分たちであること」
そして「そもそも主権とは何なのか」
 
という近代の政治における根源的な問い掛けに向き合わなくても済ませられているということです。
その点今回のような暴動が起こるフランス、そしてヨーロッパはやはり「自分たちの国は自分たちで何とかしなければならない。国家統治を議会や官僚にまかせているとはいえ、主権者は自分たちであり何かあれば自らの命を懸けることも厭わない」という主体的な主権に対する考え方が強固に根付いているなと思います。
主権概念やそれを理論付けを生み出した本場である欧米は違うな、というところです。
 
ただ、私はだからといって「日本は遅れている。欧米は進んでいる。」とか言っているのではありません。
そもそも主権という概念は近代になって初めて生まれたものですが、この概念が生まれるには、それに先立つ封建制度の成立とその崩壊という過程が必要でした。
 
封建国家というのは、ある「王」からその土地々々の有力者に土地が「封じられる(統治権を与えられる)」ことによって、有力者が領地を治めるというシステムです。この場合、王は武力的な力というよりもある種の権威によって、それぞれの領主の上についていたのです(武力の場合もあったでしょうが)。
王は権威によって領主に君臨し、その領主は王の名において統治する。けれども、それぞれはどちらがどちらを押さえつけるというよりも、お互いにその存在を必要とする絶妙なパワーバランスで成り立っていたのです。
 
それはヨーロッパにおいては長い間キリスト教の権威によって支えられていた訳ですが、それが16世紀宗教革命によるプロテスタントカトリックの血なまぐさい闘争。そして、その後の17世紀、18世紀の科学技術の発展による「神が構築した」のではない、新たな科学的世界観の誕生により、そのキリスト教という権威は大きく揺らぎます。
その権威のゆらぎによって野放図に放たれた国家が混乱するのを防ぐために、「主権」という概念が発明され、その主権を制御する方法として三権分立やら自然権やらといった近代的概念が生み出されていったのです。
 

それがヨーロッパにおける主権誕生のざっくりの流れですが、その一方、日本はどうだったか?

 

日本では封建制度は崩壊しなかった?

これは私の個人的な考えですが、実は日本では封建制度というものは、本当の意味で崩壊しなかったのではないでしょうか。確かに形の上では徳川幕府が倒れ、明治になり、社会制度や政治制度、そして科学技術の分野でも目覚ましい発展を遂げ、近代化されました。
 
ただ、そこには長い歴史の中で培われた習慣や暗黙知に基づくルールがあり、そのに暮らす人々を結びつける文化があるわけです。そして、それらを結びつけるもの、習慣や暗黙知、そして文化の象徴となるものとして、私達の日本という国には「天皇」という存在が生き続けています。
明治維新により国家システムが大きく変化したとは言え、天皇がこの国を治める存在としており、あくまでその権威の下で別の組織が国を実際に統治する。その形は実は今でも変わっていません。
 
つまり、ヨーロッパでキリスト教という権威が崩壊して主権概念が生み出されたのは違って、日本では「天皇」の権威が崩壊したことはなく、いまだにその権威に基づいた統治がなされているのではないかと私は思うのです。
もちろん、天皇が実際に政治に関与している訳ではありません。あくまで権威として統治しているだけです。だからこそ、俗世にまみれることなく国民の尊敬を集めているのですが。
 
したがって、明治以降の近代化の中で国家の主権がいかにあるべきかという議論がなされてきましたが、天皇そして皇室という日本の根幹をなす文化が健在である中で、そもそも欧米人が考えるような「主権」という概念を体感的にというか、心の底からというか、実感を伴って理解することはできないのではないかと思うのです。
 
先程も書いたように私はヨーロッパ発の主権概念が正しいとか、日本の封建制度が正しいとかいうつもりはありません。
ただ、フランスの現状を見るに国民が主権を持ち、その意義を考え、そして何かあればそれを実行するということは本当に命懸けであると思います。その意味で尊敬の念はいだきますが、その一方で私は日本人に生まれて良かったなとも思うわけです。
 

 

 

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

国民に忘れ去られた11月23日という"祭日"。

f:id:Kogarasumaru:20181125230353j:plain

さてとうとう楽しい三連休が終わってしまい、また月曜日がやって来ましたね(@_@) 

この三連休どこかに出かけられましたか?
私は23日に金沢市兼六園のパク…ではなくインスパイアされて作られた白鳥庭園という和風な庭園で紅葉狩りを楽しんできました。
いや〜とにかく寒い!寒かったです!(T . T) 
道すがらに通りすがったカップルの女性が、「ってか、寒いし!」ってぶち切るていたのが印象的でした(笑)。
 
ただ、そんな寒空の中、80歳を超えるご高齢にも関わらず、暖房器具ひとつない暗い板敷きの一室で、何時間もの間正座をし続けるという苦行をなされた方がいらっしゃいます。それも何十年も欠かさずにです。
 
誰を隠そう、天皇陛下です。
私が呑気に紅葉狩りをしていた11月23日は「勤労感謝の日」ということになっていますが、実は新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれる祭日で、非常に重要な宮中祭祀が行なわれる日でした。そういう意味で単なる「休日」ではないのです。
 

この新嘗祭とは今上天皇が日本国民を代表して、その年の収穫を祝うと共に来る次の年の豊作を、命の糧を授けて頂いたことに対する神への感謝を捧げるための祭りなのです。昔はこの日をちゃんと新嘗祭と呼んで国民の祭日としていたのですが、戦後とある事情のために「勤労感謝の日」という何だかよく分からない日へと変えられてしまったのです。

しかし、この日が勤労感謝の日という日になってからもずっと・・・・当然その前から何百年もの間(一説によると飛鳥時代と言いますから千年以上ですね)、歴代の天皇はこの新嘗祭という宮中祭祀を欠かさずに行って来ました。

しかもその内容がすごい。

 

細かい内容は皇室の"一子相伝”のため歴代天皇と皇太子しかご存知ありません。しかし、概略としては、この11月の下旬という朝晩は相当冷える時期に、御神殿にて固い畳の上での2時間の正座し、感謝の祈りを捧げます。もちろん暖房なんてありませんし、昔ながらの木造の御神殿ですから隙間風も相当でしょう。その上、それを日も上がらぬ早朝と、日が暮れてからの夜で1日2回も行うのです。それも齢84のあの天皇陛下が・・・。


ちなみに、新嘗祭が近づくと、天皇陛下は正座で足が痺れないように普段から正座の時間を多く取って新嘗祭に備えるそうです。その理由は「神様の前に出る時は心が清くなければいけない、足が痛いとか痺れるというのは雑念になるから」ということだそうです。

 

どうですか? みなさん。
こんな事ができますでしょうか?
自分のためでもなく、ましてや家族のためでもない。ただただ、国民が飢えることなく日々の食事をとるという幸せな過ごせることをひたすらに祈る。
しかも今や国民のほとんどがその存在すら忘れ、私のように各々プライベートな時間を満喫しているのです。そのような宮中祭祀を千年以上もの間、欠かすことなく行い続けその精神は私のような凡人では想像すら及びません。
 
私は天皇陛下に対して特に何かイデオロギー的な思いを抱いている訳ではありませんが、そのように国民の安寧を祈り続けているという事実を聞き及ぶ度に、尊敬の念を感じざるを得ません。そして、そのような存在がいてくださることについては、感謝の念しかありません。
 
もちろん、だからと言って国民全員が天皇陛下を尊敬すべきだ!とか押し付けるつもりはありませんよ。ただ、そのように普段の生活で特段意識することもない天皇という存在が、私達の生活の安寧を常に祈り続けてくれているということに何かを思いを馳せてもバチは当たらないのではないかと思います。
 
2018年も後1ヶ月ほどに迫りましたが、皆さんの生活に幸せが訪れることを(天皇陛下ほどではないにしても)少しでも祈りつつ、今日の投稿を終えたいと思います。

サラリーマンの方々は気分が乗らないかと思いますが、平成最後の11月(笑)もいよいよ最終週です。悔いを残さないよう(?)頑張って行きましょう!
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

NHKドラマ「まんぷく」で描かれる「国民の食を守る」という気概は既に失われた

f:id:Kogarasumaru:20181125095044j:plain

私はあまり普段テレビを観ないので当然CMもあまり観ません。
ですが、その中でも私の好きなCMを出してくるメーカーのCMは時々観ます。何ならYoutubeで探して観ますww
そのようなメーカーの一つが日清食品です。特にカップヌードルのCMが好きなんですよね。良い意味でぶっ飛んでるというか、「カップヌードル関係ないじゃんww」って思うんだけど純粋に楽しめて心に残る、みたいな感じです。
 
その日清食品創始者である安藤 百福(あんどう ももふく)とその妻・仁子(まさこ)の半生を描いたドラマが現在放送されています。他でもない、NHK連続テレビ小説まんぷく」です。
あくまで創始者夫妻をモデルにしたドラマですので、二人の名前は立花萬平(たちばな まんぺい)と福子という名前に変更されています。
 
一週間分のダイジェストしかほとんど観ないので、詳しくは追っかけられていないのですが(笑)、今週萬平と福子にめでたく子が生まれました。毎日観ている訳ではありませんし、妊娠してから出産までが現実世界で二週間くらいでしたので、あれ?もう生まれたの?という感じでしたが・・・・。
 
このまんぷくが描いている時代は第二次世界大戦の直後。
食料もまだ充分に行き届かないような状況でしたので、子供を産むとそれによる栄養失調で母親が体調を崩してしまうことが良くあったようです。
昔は「鳥目(とりめ)」とか言っていましたが、主人公の妻・福子も栄養不足で夜中に目が見辛くなるほど栄養失調に陥っていました。夜盲症(やもうしょう)と言っていたようですが、最悪の場合は本当に失明してしまうこともあったようで、本当に大変な時代だったのだなと感じてしまいます。
 
そのような時代だからこそ、主人公・萬平は多くの人の栄養不足を解消するために、日本で誰も作ったことのない「健康食品」を作ることになる・・・・というのが来週からの展開のようです。
 

萬平の思いを形にしたような法律

多分今回のドラマには出てこないでしょうが(多分じゃないな。絶対出ないなww)、そんな萬平の思いを反映するかのような法律が1952年に成立します。「主要農作物種子法」・・・通称「種子法」です。
これは正に戦後の食糧難を経験した先人たちが、このような食糧難を二度と起こさせないために「コメ、麦、大豆」の三大主要作物がどんな時にも安定供給されることを整備するために成立しました。
 
具体的に言うと、その主要作物の元となる種子の生産と管理は非常に手間がかかるので、なかなか一般の農家レベルでは管理し続けることができません。また、普通に農協などで維持管理したとしても、通常の手間賃を乗せてしまうととても高価になってしまうため、農家もしくは消費者である国民に負担を強いることになってしまいます。
 
そこで、その種子の開発と管理維持にかかる予算を都道府県が負担するように定めたのが、この種子法という法律なのです。
 この種子法によって日本の種子は農業協同組合から「公共種子」として安く販売され、農家も安く購入でき、私達もコメを安く購入することができる、という訳です。
 

そもそも農作物はどんな種子を使おうがどんな土地でも育つというものではありません。当然その土地や水に合った種子というのがある訳です。
ですから、各都道府県にその地域に合った物を奨励しなさいという、ごくごく当たり前の法律です。そして、国民の食生活を守るためのものですから、そのために補助金をつけましょう、ということも何も不思議ではありません。

 

ところが、実はこの私達の食生活を守るための種子法が来月4月廃止することが決まっています。
 

種子法が廃止された後どうなるか

これにより農家は安い公共種子を買うことができなくなりますので、その分高価な民間企業が生産した種子を買うしかありません。当然その価格上昇分は私達国民が負担することになります。
 

そうするとより安い種子を求める動きが出て来るのは避けられないでしょう。

そこで出て来るのが、海外のいわゆる穀物メジャーが提供する遺伝子組み換え種子です。遺伝子組み換え種子に拒否反応を示す人達であっても、日々の家計を直撃する話になれば「安全だけどこんな高い物買えないから仕方ないか・・・」と徐々に遺伝子組み換え食品が当たり前になっていく。

そんな未来がすぐそこまで迫っているのです。
 

種子法の廃止により国民の健康より民間企業に儲けを優先

なぜそんな事態になったのか?
それはそのような「安い種子」が出回っていては、民間企業が農業ビジネスに入り込めないからです。
 
 その民間企業のビジネスを推し進めるのが、パソ◯グループの会長である竹◯氏や楽◯の代表である三木◯が「民間議員」として列席している規制改革推進会議。彼らはその提言の中で、種子法によって農協が農家に"高く"売っていることが問題であり、民間活力を導入することでより安く農家に種子などの農業生産に必要な資材を提供できる。だから民間企業が入りやすいように種子法を廃止するべきだと主張しています。
 
ん?
んんんん?
何かおかしくないですか?
農協が「安く売りすぎているから不当だ」というならまだしも、「高く売りすぎているから不当だ」というのは変ではないでしょうか?
だって、それなら農家は別に農協から買わなければ良いだけの話です。実際には、三井グループの企業が作っている種子があり、積極的に販売攻勢を掛けているようですが、これの値段が農協から販売されている種子の3〜4倍の値段がするので、全然売れないそうです。
 
そうなんです。
「高すぎて農家に負担を掛けている」あるいは「消費者に価格転嫁されている」などという事実はどこにもないのです。事実は全く逆で農家が市場価格よりも種子を安く入手できている状況なのです。
では、農家にとっても一般消費者にとってもWinWinなこの状況の何が問題なのか? それが、先程書いたように安すぎて民間企業が参入できないから」という問題です。
もちろんここは
 
「 いやいやいや、全然問題じゃねーだろwwww」
 
と速攻でツッコミを入れるところです。
ところがこのツッコミを国会で誰も入れられなかったのです(あるいは入れたけど無視されて法案を通された)。結果、種子法は廃止。日本国民はめでたく高いコメを買わされる道が開かれた訳ですね。どうですか! これがメディアの好きな「民間活力の活用」ですよ!!
 

アメリカのグローバル企業に日本の食は支配される

ちなみに、これで儲かる民間企業とはどこでしょうか。
それはもちろん
 
モンサント=バイエル
ダウ・デュポン
 
といったアグロバイオメジャー企業です。みんなの大好きな「グローバル企業」ですね(笑)。
 
彼らは強力な農薬を使った徹底的なコストカットによって素晴らしい価格で世界中に種子を販売。その種子は強力な農薬にも全く影響を受けないように遺伝子操作された強靭な人工種子です。この種子とこの種子を守るための農薬をセット販売することで、莫大な利益を上げています。
しかも、その種子は雄性不稔(ゆうせいふねん)といわれる品種改良(改悪?)がなされており、花粉が作られないため受粉することができません。つまり、一度実をつけたらそれっきり。次の収穫の際にはもう一度そのグローバル企業から種子と農薬を買わなければなりません。これをF1品種と言います。
なお、この農薬も最初はよく効くのですが、年々雑草の方に耐性がついていくため徐々にさらに強力で多くの種類の農薬を使わなければならなくなります。一旦F1を使い始めると一生逃れることができない、という素晴らしい収益システムになっている訳です。
 

中国ではすでに雄性不稔のF1種が、イネ全面積の60%。アメリカも、すでに30%近くです。それに対し、日本は1%弱。まだ大丈夫ですね・・・・まだね。


しかし、種子法が既に廃止された以上、中国やアメリカの二の舞になるのは避けられません。種子法を復活させる、あるいはそれに相当する法律を新たに成立させない限り、日本の農家は雄性不稔F1(しかも遺伝子組み換え)の種子を、毎年外国企業から購入せざるを得なくなります。そして、私達国民もまたそのF1種によって作られたコメを食べざるを得なくなるのです。

 
そのような未来を避けるために私達にできることは、まずは実態を知ることです。
「種子法」でググればいろんな情報が出てきます。兎にも角にも実態を知り、私達がどうするべきか? 何ができるのか?を考える。そこから全てが始まるのです。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
 

大阪万博が呼び込む、”万博後”の悪夢。これこそ将来世代へのツケである。

f:id:Kogarasumaru:20181124120603j:plain

2025年に大阪で万博が開催されることが決定しました。事前の期待も高かったですし、決定して時には大阪の道頓堀では「大阪コール」(?)が巻き起こったそうですね。

ああ良かった、良かった。これで大阪経済も安定だ!
…となるのでしょうかね、本当に。
 
大阪万博を支援しているオフィシャルパートナーのリストに、次のような名があります。
 
シーザーズ・エンターテインメント社
 
これらはその筋では有名なカジノ関連企業。実はこの他にも3社同じ米国のカジノ関連企業が名を連ねています。
 
 
なぜこのような企業が万博の支援リストに名を連ねているのでしょうか。実はここに大阪が万博誘致を推進した本当の理由があるのです。
 

万博とIR事業はパッケージ

結論から言うと、そもそも万博とIR設備…というかカジノの建設はセットで進められている話なのです。
というのが、その両方の建設が予定されているのが、どちらも人工島「夢洲(ゆめしま)」であり、何なら隣に作られることになっているのです。
しかし、この夢洲は産業廃棄物を廃棄するための土地であるため、鉄道などの交通機関が全く整備さらていません。船の他は橋とトンネルが一本ずつあるのみ。
 
当然それではカジノを作ることはできませんので(作ること自体はできるでしょうが、アクセスがメチャクチャ悪いカジノの建設に投資する人はいませんからね)、何とかして鉄道を通す必要があります。それに鉄道以外の環境整備も当然必要です。何と言っても現状は産廃地区なのですから。
 
そこで問題になるのが財源です。
地下鉄を夢洲に通すだけでも730億円。環境整備を含めればゆうに1,000億円を超えます。そんな巨額の費用を一自治体が(正確には大阪府大阪市で二自治体ですが)単独で負担することは不可能です。
そこで目を付けたのが、カジノと万博の「パッケージ誘致」なのです。「大阪のカジノ建設のために国税を投入しろ!」と言っても国民は納得しません。ですが、「万博のために国税を投入しろ!」と言えばどうでしょうか?
私のようなひねくれ者はさておき(笑)、ほとんどの人は「それなら仕方ないか」と納得するのではないでしょうか?
 
もちろん、万博会場として夢洲の土地を使うとして、万博が終わればその"元"会場はどうするのか?という課題はあります。万博会場の後をどう活用していくかで頭を悩ませることになるでしょう。今までの例で言えば、大概が広い公園か何かになって、年に数回市民イベントが開かれるような市民交流の場になる可能性が大きいです。
そこにカジノが入ればどうなるでしょうか?
カジノ客目当ての施設や店舗が次々と進出し、カジノ王国となるかもしれません。自治体が活用に頭を悩ませなくても、カジノ関連の経営者たちが夢洲を活用して自治体には税収だけが入ってくる。そんな皮算用を考えている人達も多いかもしれません。
 
ですが、それで本当に良いのでしょうか?
 

万博が呼び込むカジノが招く悪夢

カジノ関連法案が提出された時は、「それによって外国人客を呼び込む」などと言われていましたが、実際に政府がカジノ設立による集客を試算した際、来場者のうち8割が日本人客ということになっています。
 
また実はIR関連法案には「カジノ経営業者に、客にギャンブル資金を貸し付ける許可を与える」条文が入っています。その上、政府は貸し付け業務自体には年収の三分の一以上貸し付けてはいけないという規制をかけていますが、このカジノの貸し付け業務においてはそのような規制をかけていません。
つまり、カジノに来る客はカジノ経営者から事実上いくらでも借金できることになっているのです。
 
 
そのような環境でカジノが設立されればどうなるでしょうか?
「カジノにはまって財産失うような奴は自己責任」。それは確かにそうかもしれません。私は酒もタバコもギャンブルも一切やりませんので、それで破産したような人達に同情するつもりはこれっぽっちもありません。
しかし、実際それで経済的に追い込まれた人達は借金返済のためにどうするでしょうか?
「こんなことをしていては駄目だ。明日からまともに働いて、少しずつでも借金を返していこう!」と一念発起して真面目に働くでしょうか?
私にはとてもそうは思えません。麻薬取引、強盗、詐欺などなど"金儲けになる"犯罪に走る可能性が高いのではないでしょうか。自分や周りの人達がそのような犯罪に巻き込まれたとしても、「そんな人達がいそうな所に行くから悪いんだよ。自己責任」「運が悪かったね」とか言う言葉で済ませられるでしょうか?
そもそもそのような犯罪の温床となるような施設を作ったことが問題だ、と考えるのが自然ではないでしょうか。
 
しかし、そのような状況に陥ってしまった後で「やっぱりカジノは良くないから撤退して貰おう!」と言ったところで時すでに遅し。その時にはがっつり利権構造が確立されており、カジノ業者だけでなく観光業や運送、環境整備に関わる人達と実に多くの人間がカジノありきの構造に絡め取られてしまっているため、そのカジノに撤退を求めるなどということは出来ないのです。全ては後の祭りなのです。そうアフター・カーニバルなのですよ!
 
そのように国家や地方自治体が関わる公共性の高い業務というのは、一旦スタートしてしまうと影響が長期間に及ぶもの、あるいは二度と取り返しがつかないものというものが沢山あるのです。一時的な経済的利益などのために易々と取り組んではならない。失敗すれば撤退すれば良い、あるいは潰れてしまっても最悪その会社の人間たちにしか影響の及ばない民間企業と同じ次元で考えてはならないのです。
 
本来「規制」というのは、そのように安易な方策によって将来的な禍根を残さないための防衛策でもあるはずなのですが、公共機関は無駄や規制が多くスピードも遅い!民間企業万歳!民間主導で進めれば全て上手くいく!という「民間礼讃主義」によってそのような「良い規制」まで撤廃してしまいました。
その上、今回の夢洲のカジノのように、万博という美しい看板に誤魔化されて、自らの首を絞めることになる事業誘致が決まったことで、やんややんやとどんちゃん騒ぎをしている訳です。
 
 
万博終了まではインフラ整備も進み、それによる経済効果もあるので、良い夢が見れるかもしれません。しかし、その後には何十年…もしかしたらそれ以上に及ぶ悪夢を引き起こすことになるでしょう。
 
今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆
 

 

日本借金とやらの半分は既に返済済みという事実。

f:id:Kogarasumaru:20181123094717j:plain

CNNニュースの報道によると、日本銀行の総資産が約553兆6000億円に上った模様。

国内総生産(GDP)を上回る規模となったようです。

 

すごいですね。553兆円ですよ。

GDPを超えるということは、日本人全員が一所懸命働いて稼ぎ出したお金の全額より、日銀が保有している資産の方が多いということです。

半分とは言いませんが少し私にも分けて欲しいくらいです。10%で良いよ! いや、大負けに負けて1%で良いよ!!ww

 

それはさておき。

そもそもなぜこんなに資産が増えてしまったのでしょうか?

別にヤク◯のように闇金融の会社を経営している訳でも、何か事業に投資している訳でもありません。

 

いわゆる「異次元緩和」と呼ばれている、日銀が政府の発行する国債を買い取りです。

皆さん学校で習ったかと思いますが、日本政府には通貨を発行する権利があります。とは言え、日本政府が直接自分で紙幣を印刷するわけではありません。国債という借用書みたいなものを発行して、それを誰かに買い取ってもらうことで、結果的にお金を発行します。
 
この国債を大量に発行し、それを日本政府の子会社である日銀に買い取らせることで大量に通貨を発行することを金融緩和といい、「異次元緩和」というのはその金額が今までとは異次元のレベルだということです。
 
さて、黒田日銀総裁が総裁に就いてからの5年間どれくらいの国債を日銀が買い取ったのでしょうか?
なんと約350兆円です!!
 
いやぁ、欲しいわぁ。10%!いや、1%で良いよ!ww
 
ま、それは置いておいて(笑)。
350兆円の国債を政府から買い取るわけですので、その国債は日銀の資産に計上されることになります。
そして、そのようにして増えてきた日銀が持っている国債の額はなんと466兆973億円!!!
 
そうなんです。
日銀の資産560兆円のうちの467兆円ほどは、政府への債権なのです。
そして、ここから驚くべきことが導かれます。

 

このブログでは何度か書いていますが、日銀は日本政府の子会社です。そして親会社と子会社のお金の貸し借りは連結決算によって相殺されます。

これは何を意味するのでしょうか?

 

日本は1,000兆円を超える借金を国債によって抱えています。しかし、その内の467兆円は日銀が保有している以上、その金額は連結決算によって相殺されますので、返済する必要はないのです。

そう。

一連の異次元緩和によって、日本政府の借金は既に半分近くが返済不要になっているのです。もはや財政再建とやら達成済みなのです。

 

であれば日本政府が取るべき道は明らかです。

デフレ不況という状況は「誰もお金を使わず社会に循環しないから、誰もが貴重なお金を貯蓄に回し、さらにお金が回らなくなって皆が貧乏になっていく」という状況です。

それならば政府自身が積極的にお金を使っていくしかない。

もはや財政再建が達成されてしまっている以上、そこに躊躇する理由はこれっぽっちもないのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

「USB知らない」大臣と「パソコン使わない」トランプ大統領の違い

f:id:Kogarasumaru:20181121224557j:plain

 

オリンピック担当大臣でありながら、それを遥かに上回るインパクトを世間に残してしまった、”USB大臣”こと桜田五輪担当相。

USBを知らないことに加えてパソコンを自分で扱わないということで、世界的にも(?)有名になってしまったようです。イギリスのガーディアン紙と言えば、世界でも有名な大手新聞社ですが、そこで「ハッカーもパソコンをやらない桜田氏からは何も盗めない」と皮肉られる始末(笑)。

 

この方はオリンピック担当でありながら五輪大会の予算を間違えたり、野党の質問にしどろもどろになって官僚に助けられたりとか、正直かばう気もさらさらありませんが、それでも敢えて言わせて頂きましょう。

 

USBを知らない。パソコンを扱わないことがそんなに問題でしょうか?

 

ニューヨーク大学タンドン工科大学院のガバナンス研究所所長であり、オバマ前政権で副最高技術責任者を務めた、ベス・シモーネ・ノベック氏がウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューに応えた記事の中で次のような発言があります。

(※Facebook個人情報流出問題から何が学べるか?という質問に答えて)

政界には、こうしたテクノロジーを理解している人材、もしくはテクノロジーを分かっている人たちと関わるプロセスを作り出せる人材が必要だ。1人の政治家が全ての問題について何から何まで理解するのは無理だ。テクノロジーだけでなく、農業や宇宙、医療の知識も必要だ。われわれは政治家が何でもやってくれることを期待するが、実際には彼らが何かの専門家ではないことは知っているはずだ。

 

今回はUSBというパソコンを普段使う機会がある人であれば誰でも知っているような非常に簡単な用語だったので、「大臣の無知さ」が際立ちました。しかし、サイバーセキュリティの対象となるような不正アクセスのプロフェッショナルからすれば、USBを知ってるかどうかどうかで区別できる違いなど何の意味もありません。

まさにどんぐりの背比べ。

 

例えばCAD、CAE、CMS、Daas、DHCPGUIMySQL・・・などなど、IT用語にはものすごい数の種類がありますが、果たしてそのようなIT用語を全て理解している人がどれだけいるのでしょうか。ちなみに、私は知らないことばっかりです(笑)。恐らく20年後、30年後になったら、この大臣と同レベルの「何にも知らない爺さん」になってしまうでしょう。

IT関連の技術進歩というのは本当に半端ではありません。その業界に身を置いている人でさえも30代を超えたら最前線でやっていくのは不可能なのです。ましてや一般人であれば”何をか言わんや”です。

 

また、その一方アメリカのトランプ大統領も「パソコンを使わない」ということで有名な様子(Twitterはやっているのでスマホはやっているようですが)。

 

その意味では桜田五輪担当相とトランプ大統領は同じレベルです。

 

ですが、決定的に違うことがあります。

それは桜田五輪担当相が国会でUSBのことやらパソコンのことで突っ込まれた時に、汗だくになりながらしどろもどろで答弁していたのに対し、トランプ大統領は「国家への脅威の現場はサイバー空間にある」という認識を示した上で

 

「安全なパソコンなどない」

 

と言い切っていることです。

 

子どもの頃や学生時代からパソコンに親しんでいる世代ならまだしも、この世代であればパソコンを使わずに仕事を充分こなせてきたはずです。ある程度の歳になってからパソコンを学ぶのはそりゃ大変でしょう。ですが、パソコンを人並みに使えるというのは誰でも出来るスキルであり、国の中枢にいる人間が学ばなければならないものではありません。

 

重要なのは、そのようなスキルそのものを持っているかどうかではなく、上記のウォール・ストリート・ジャーナルの記事でノベック氏が語っているように

 

テクノロジーを分かっている人たちと関わるプロセスを作り出せる人材が必要

「国家への脅威の現場は今やサイバー空間にある」
「国家への脅威の現場は今やサイバー空間にある」

 

なのではないでしょうか。

トランプ大統領はそのポイントをちゃんと理解した上で、自分自身には必要ないと考えている。一方、桜田大臣はそのポイントが全く理解できていない。そこが大きな違いであり、それを理解していないという意味で桜田大臣はサイバーセキュリティ担当大臣というより、そもそも政治家としての資質が全くない上、変な話ですが土壇場で知らないことを知らなくて何が悪いと言い切るような度胸すらない(あ、ちなみに昨日の国会で自分は判断力があると言ってましたが、もう今更遅すぎますね。どうせ誰かの入れ知恵でしょう。)


USBを知らないことなんてどうでも良い。

そんな事よりも、「資質」と「度胸」がないというポイントにおいて、この人は政治家として0点なのです。

 

そして、さらに言えば、そんなしょうもないことを国会で答弁させて、鬼の首を取ったような態度でいる野党もレベルが低すぎるし、「USBを知らない!」「パソコンも使わない!」などと、分かりやすいが本質からはかけ離れているポイントで政府要人を責め立てて溜飲を下げている日本のメディアもレベルが低すぎるのです。

 

この前とあるテレビ番組で、最近話題の日本史の研究者 磯田道史が司会の方に「こんなに自分や日本史が注目を浴びるようになったことについてどう思うか?」みたいなことを聞かれた時に、このように仰っていました。

 

「今は千年に一度くらいの大転換の時期。こんな時に日本史の研究なんかしていて良いのかと思う。」

 

と。

 

全くその通りで、国際政治にしろ、AIのような科学技術にしろ、世界的にいろんな面で大転換が起ころうとしている時代です。

こんなUSBを知っているかどうかとか、そんなしょーもないことで鬼の首を取ったように鼻息を荒くしている暇があったら、移民受け入れ拡大政策を食い止める努力でもしてろ!!(# ゚Д゚)

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相
桜田義孝五輪担当相

日本人全員に読んで欲しい。堤未果氏の本「日本が売られる」の内容が超絶ブラック過ぎる。

「どうも、僕です。」

 

このネタが分かる人は私と同世代ですね。多分(笑)。分かるかな〜〜?

 

この導入は昔テレビでやっていた「銭形金太郎」というバラエティー番組で、くりぃーむしちゅーの有田哲平がレポーターを務める時に使っていた"入り”です。

この番組は、くりぃむしちゅ~などのお笑い芸人がサポーターとして貧乏生活を送る人たちいわゆるビンボーさんの元へ出向き、生活や生き様を学んでいく生活応援バラエティー番組でした。

深夜番組らしい「ゴールデン」じゃ絶対やれない、ちょっと変わった人たちの恐ろしい貧乏生活をある意味面白おかしく紹介していたのですが、これが単なる「貧乏いじり」ではなかったのが好印象。ある種のリスペクトを持ってご紹介して、その貧乏さんたちの人生哲学みたいなものが伝わる番組でした。

まぁ、ゴールデンにありがちな「人気が出る > ゴールデンに移動 > つまらなくなって終了」というパターンで、終わった時はちょっと残念でしたね。

 

それはさておき。

そんなある意味「普通の人とはちょっと別世界だった」貧乏生活を多くの人が経験しなくてはならないかもしれない、という恐ろしさを感じさせる本の紹介です。

 

それがこれ↓ 堤未果(つつみ みか)氏の「日本が売られる」です。

日本が売られる (幻冬舎新書)

日本が売られる (幻冬舎新書)

 

 

安倍内閣が進める移民政策はもとより、医療福祉、学校教育、などなど様々な分野で日本の共有財産が"民営化"の名の下、次々と外資中国企業に売りつけられている実態が詳細に書かれています。

正直どれも内容が凄すぎて、いつもの本の紹介のように「この本のポイントはここです」みたいな紹介の仕方ができません(笑)。いや、笑い事じゃないんですけどね・・・。

 

中でも私が衝撃的だったのをピックアップすると

 

1) 消費税増税が避けられない! と言われる理由の一つが「医療費40兆円」です。これは一般的に高齢化社会による医療費増が原因と言われていますが、何とこれが実は1980年代に中曽根首相(当時)とレーガン大統領(当時)の間でかわされた「MOSS協議」というものなのだそうです。

この協議によって日本は医療機器と医薬品の承認をアメリカから得なければ、製造販売できなくなりました。それまでは世界トップクラスだった日本の製薬会社や医療機器メーカーが一気に凋落。今ではアメリカ製の医療機器と新薬を他国の3〜4倍の値段で購入しなくてはならなくなった。その御蔭で日本の医療費は莫大な金額に膨れ上がったという訳です。

 

2) 今年の通常国会でも大騒ぎになった「高度プロフェッショナル制度」。既に成立してしまいましたが、これもまた恐ろしい。

一般の報道では「年収1075万円以上の専門分野」ということになっていますが、なんとこの法律自体にはどこにも「年収1075万円」という数字は出てこないそうです。具体的な金額は国会を通さずに厚生労働省が独自に設定できる。

 しかも基準となる給与は「見込み」でOKなので、仮に1000万円で契約した後に仕事が多すぎて終わらせられず給料が半額になったとしても、高プロの対象のため残業代は支払われない。

 

3) 最近話題になることが多い水道事業の民営化。コンセッション方式という所有は自治体のままで水道事業の運営だけを民間に委ねる方式が注目されていますが、その決断も地方議会の判断を経ることなく、首長の独断で決定できるように法律を変更。

その上、電気やガスの場合は法律により安定供給の責任が事業者に課せられるが、水道にはそのような法律が存在しない。したがって運営は民間企業がやっても責任は自治体がとることになる。運営や管理から切り離され、水道料金も手に入らない自治体がどのようにして安定供給の責任を取るというのでしょうか?

しかも、水道料金には設備費用だけでなく、株主や役員への報酬、法人税内部留保などの全てを合法的に上乗せすることが可能。誰とは言いませんが、今話題沸騰の某自動車会社の会長に支払われる役員報酬を上げるために、私達の水道料金が値上がりすることになるのです。

 

という感じでしょうか。

もうなんか書いているだけでも恐ろしくなってきますし、このような国民の人生を左右するようなことを国民に知らせず、平然とやってのける人たちに怒りを感じざるを得ません。

 

堤未果さんと言うと「貧困大国アメリカ」などで、徹底した現地取材を元にした詳細なルポが持ち味です。ただ、私は個人的に堤さんの今までの本は「すごく面白いことを書いているんだけど、説明が長すぎてポイントと筋道が分かりづらく、読んでいて疲れる」という印象を持っていました。すみませんね・・・。

でも、今回の本は取り扱う分野が広すぎるせいもあってか、ひとつずつのトピックは比較的短くコンパクトにまとめられています。それでも充分書いてある情報は深いです。

別に全てに目を通す必要はないでしょうし、ここに書いてある全ての出来事を「日本人として知っておかないと!」とまで言うつもりはありません。

 

ただ、書かれている分野が非常に多岐にわたるので、誰が読んでもこの"日本が売られる"という状況が大げさな比喩でも何でもなく、本当に「自分たちや子どもたちに密接に関係している事実なんだ」ということがリアリティを持って感じとってもらえると思います。

 

私はあまり詳しくありませんが、堤さんの主義主張に関してはちょっと違和感を感じる方々もいらっしゃるようです。しかし、彼女の主義主張は横においておいて、その詳細な取材に基づいた分析は確かなものだと思います。

全員に買えとは言いません。本屋で見かけたら数ページ立ち読みするだけでも良いです。ただ、このような事実があるということを多くの人に知ってもらいたいという思いで、今日の投稿を書きました。

 

是非手に取っててお読みくださいm(_ _)m

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

米中の新冷戦。金と話し合いで解決する段階は終わったことに気付かない鈍感大国ニッポン。

f:id:Kogarasumaru:20181120141937j:plain

さて皆さん「灰色の戦争」という言葉をご存知でしょうか。
これは現在のアメリカと中国のインド太平洋地域における覇権争いの状況を指して、アメリカ海軍のお偉方が表現した言葉です。
その意味とは「本格戦闘に至る前の段階における灰色戦争」であるということ。
つまりアメリカは既に中国と事を構える前提で、インド太平洋地域における行動を起こしているのです。
 
 
それを象徴するような出来事が起こりました。

APECで首脳宣言断念という異例の事態ですが、その理由はいわずもがなアメリカと中国の対立です。基本的にこういう会議は名だたる国の首脳クラスが集まる以上、実際の内容はどうあれ一応形でだけでも友好的な宣言を採択するものです。
それがなされなず、しかも議長自らアメリカと中国が対立してるんだからどうしようもないと発言するほど、深刻な対立が生じているということです。
 

日本は既にアメリカに協力すると公式に表明済み

あまりメディアでは取り上げられていませんが、実はアメリカは前回トランプ大統領が来日した際の共同声明において、名指しこそしませんでしたが中国の覇権主義敵政策に対し、日本にもアメリカと協働して対策を進めることを求め、安倍首相もそれを了承しました(というか、安全保障を握られている日本に拒否するという選択肢はないのですが)。
 
さらに、その声明を受ける形で、先日ペンス副大統領が来日した時には、インド太平洋地域へのインフラ整備事業に日本がアメリカと協力して推進していくことも宣言されました。
当然そこには、中国が同じくインド太平洋地域への支配力を強めようとする一帯一路構想への対抗策という面があります。
むしろ、目的がそれしかないくらいですが。
 
つまり日本は政府としてアメリカに協力する形で中国と対立する…とまでは行かないでも、少なくとも距離を置く方針であることを宣言してしまっている訳です。
 

政府がアメリカ支持を表明しているのに民間企業は・・・

そんな米中対立の渦中に飲み込まれている状況の中、日本の民間企業が何をしているかと言うと…
 
 
なんと日本と中国以外の第三国、具体的には南アジアや東南アジア地域諸国のインフラ投資について中国と積極的に協力するという覚書を50以上も締結してきたのです。
しかも、日本政府の閣僚である世耕弘成経済産業相に至っては、
 
「日中企業はそれぞれ強みがあり、第三国でのプロジェクトの展開は両国の経済協力の拡大と対象国の発展にとって大変有益だ」と述べた。
 
そうです(笑)。
いや、笑いごとじゃないです。
マジでとんでもないことをやっています。
 
例えて言えば、日本は勉強はできるけど腕っぷしは貧弱。ただ金だけは持っているお坊ちゃん。そのお坊ちゃんにヤクザの組長(アメリカ)がずっとたかり続けてきた訳ですが、そこに組長と縄張り争いをしている隣組の組長が「お前もずっとあんな奴の下っ端で金をむしり取られて大変らしいな?俺に金貸してくれたら倍にして返してやるから、ちょっと金貸してくれよ」と言ってきた。
そこでこのお坊ちゃんは「組長は恐いけどお金は欲しいし・・・」と、まんまと騙されて隣組の組長にお金を貸してあげようとしている訳です。
 
普通に考えてそのような状況が続くと思われますでしょうか。
必ずどこかで両方の組長から「で、お前はどっちにつくんだ?」と迫られるに決まっています。
あるいは両方から切られるかのどちらかでしょう。
今までは二人の組長は表面的には握手を交わしていました。しかし、既にその状況は終わりを告げ、灰色の戦争の局面に突入しています。
「どっちににつくのかハッキリしろ」と迫られる、決断の時は刻一刻と近づいているのです。

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

消費税とは輸出企業のための補助金であるという事実

f:id:Kogarasumaru:20181118223445j:plain

なぜ消費税が増税されるのか?

その理由は一般的には増大する社会保障費を補うためということになっています。

ですが、それが

 

輸出企業への補助金として活用するため

 

だと聞いたらどうしますか?

今回はそんなちょっと恐ろしい話をしたいと思います。

 

輸出向け商品は課税対象外

そもそも消費税とは、その名の通り消費に伴う支払いに掛けられる税金です。

もちろんこれは私達が普段の生活で支払う消費だけではありません。企業活動においても同様です。パン屋が小麦粉や卵などの材料を別の会社から買ったり、電器屋が家電メーカーから商品を購入したりしても当然消費税が掛けられることになります。

まぁ、当たり前ですよね。

 

ですが、この消費税の課税対象には例外があります。

それが輸出向け商品です。

輸出用に作られた商品は国内での消費ではないため課税対象外です。

 

したがって、とあるメーカーが商品を作るのに必要な材料を仕入れる時に「これは輸出用なんで」と言えば、消費税を支払わなくて良いのです。

実際には「輸出分は課税されない」ではなくて、メーカーが消費税込みの金額で仕入れ業者に支払い、その仕入れ業者から国に税金が支払われ、その後「輸出分は控除されますので」ということでメーカーに「還付金」として戻ってくるという形です。

 

ただ、ここで問題となるのは、仕入額にかかった消費税分をメーカーが直接納税するわけではないということです。

どういうことでしょうか?
 
例えばある輸出向け商品において、とあるメーカーが仕入れ業者から10,000円の材料を仕入れて、それを加工してから20,000円の商品を作るとします。最終的には輸出向けで課税対象外になりますが、一応国内の取引上メーカーは材料代10,000円+消費税8%を支払わなくてはなりません。
 
この場合に、メーカーが消費税分を仕入先ではなく直接国に払うとしたら、
 
・メーカーから仕入先への支払い=10,000円
・メーカーから消費税分の国への支払い=800円
→メーカーが支払う金額は10,800円
 
となり、メーカーが消費税として払った800円が後から還付金として戻ってきます。
ただ、実際にはこのような方法は取られません。
実際には、普段私達が買い物する時と同じくメーカーが仕入先に「商品代+消費税」の値段を払います。そりゃそうですよね。私達も毎回コンビニとかで買い物した後に、それとは別に消費税を計算して申告しないといけないとしたら、メチャクチャ大変です。
というか脱税天国ですね。
 
という訳で、実際の取引においては下のような形になるのです。
 
・メーカーから仕入先への支払い=10,800円
・メーカーから消費税分の国への支払い=0円
→メーカーが支払う金額は仕入先に支払った10,800円
 
この場合、仕入先がメーカーから支払われた10,800円の中から消費税分800円を税金として納めます。しかし、この消費税800円は輸出向けであるため非課税になりますので、この800円が国からメーカーに還付金として払い戻されるわけです。
 
ここまでは良いでしょうか?
 
 
上記のどちらの場合もメーカーが支払う金額は10,800円で同じですし、還付金として戻ってくる金額も800円なので同じです。「これのどこがおかしいのか?」と思われますよね。
はい。全くその通りで、今回のようにみんなが真っ当に処理を進めれば何も問題ないのですよ。問題なのはみんなが真っ当でない場合。このシステムには不当に利益を得ることができる抜け道があることなのです。
 

消費税還付金システムを悪用した抜け道

そのポイントとなるのが、先ほど書いた「仕入額にかかった消費税分をメーカーが直接納税するわけではない」という部分です。
 
具体的に説明しましょう。
 
先ほどと同じくとあるメーカーが仕入先から10,000円で材料を購入するとします。この時に「消費税分安くしてくれないか?」という交渉がされたとしたらどうでしょうか。これは実際5%から8%に上がった時によく起こった話です。
仕入先がこの条件を飲んだ場合、10,000円というのが商品の金額+消費税8%になります。つまり商品代が9,259円、消費税が741円ですね。
 
この741円は輸出品に掛かった消費税ですので、当然課税対象外。したがって、国から「メーカー」に還付金が支払われます。
あれ?と思いましたか?
そうなんです。還付金は仕入先ではなくメーカーに支払われるのです。そうするとどうなるでしょうか?
 
メーカーが仕入先に払う金額は、値下げ交渉により10,800円から10,000円に下がりました。しかもその上で還付金として741円が国から支払われます。
面白いのは(いや、別に面白くはないのですが…)、これと同じ式を消費税が10%になった場合で考えてみると、仕入先が国に払う金額は「商品代9,090円 + 消費税分910円」となります。
そう。つまり消費税が10%へと上がることで、国からメーカーに支払われる還付金が910円へとアップするのです!
 
つまり、輸出品が多い企業にわわおいては消費税が上がった分、自分達の支払い額が変わらなくても国からの還付金が増える可能性がある、ということになるのです。
 
どうですか?
恐ろしくないですか?
 

そもそも還付金制度が考案された理由は輸出企業を援助するため

ただ、実はそもそも消費税という税制度そのものが、このような事実上の輸出補助金として設けられた制度なのです。
その背景にはGATT(関税貿易に関する一般協定。現在のWTO世界貿易機関の前身)の協定があります。GATTとは
 
関税や各種輸出入規制などに関する貿易障壁を取り除き、多国間自由貿易を維持・拡大するために締結された国際協定。自由・無差別・多角の3原則により自由貿易を実現しようとするもの。
という協定のこと。
コトバンクから引用
 
関税や輸出制限などの貿易障壁を撤廃することを目的として設立されました。したがって、国家が民間企業に補助金を提供することを禁じていました。そこでそれをすり抜けるために、「国内で負担した間接税を還付したものである」という建前で輸出企業に補助金を提供するために考案されました。それがこの消費税の還付金制度なのです(ちなみにこれは日本が考え出した訳ではありません。もともとはヨーロッパ発で「付加価値税」に対して行われたものです)。
 
つまり、このような還付金制度を伴って発足された消費税とは、そもそもの目的が輸出企業への補助金として生み出されたもの。言うなれば、国民から幅広く税金として取り立てたお金を輸出企業へ受け渡すための制度、それが消費税なのです。
 
 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

このサイトについて プライバシーポリシー
Copyright ©2020 Sekadoku (世界を救う読書管理人)