世界を救う読書

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自由のためなら「ルールを勝手に変えるのも自由」。それが自由の旗手マクロン大統領。

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ここ数日世間を、いや世界を賑わせているカルロス・ゴーン氏の逮捕劇。

ゴーン氏が日産だけでなく、三菱自動車、フランスのルノーという企業連合の会長を務めているということで、フランスと日本の国際問題にも発展しかねない様相になってきています。

そんな中フランスのマクロン大統領が、なんとこの問題に関して安倍首相と直接議論したいと言い出したようです。

 

 

記事によると

 

「権力闘争になればわれわれは大砲を持ち出し、ルノーに対して日産株の出資比率を上げるよう要請する用意がある」

 

とまで言っている様子です。

「大砲」というのが何なのか分かりませんが(笑)、いずれにせよ日産を支配下に置くために安倍首相と交渉したい、ということです。いや、もう考え方がぶっ飛びすぎていて唖然とするしかありませんが・・・。

 

カロン大統領は自由貿易主義のはずだが…

面白しいのは(というと不謹慎ですが)、マクロン大統領は自由貿易、グローバリゼーションこそが世界経済を成長に導くという立場で政権運営を行っています。国際会議の場でもトランプ大統領アメリカ第一主義に否定的な態度を示し、いわば「自由の旗手」を標榜している訳です。

 

で、あれば。

今回のゴーン氏の逮捕劇の実際の過程がどうあっても、民間企業の連合体の状況に国家が口出しをすることは、自由貿易という観点からすれば明らかに間違っているのではないでしょうか。なぜなら自由貿易とは「企業が"自由"に商売を行うことが正しい。その規制を排除するべき。」という考え方なのですから、仮に今回の逮捕劇が日産によるルノーへのクーデターだっとしても、それはそれで民間企業の自由なのです。証拠を捏造したとか不法行為を日産が働いているなら別ですが。

 

色んなところで報道されている通り、フランス政府は民間企業であるルノーの株式がフランス政府が15%も保持しています。その事自体も我々日本人からすれば妙な感じもしますが、まぁそれはそれぞれのお国で考え方があるのでしょう。

ただ、それに絡んで奇妙なのはフランス独特の法律、フロランジュ法です。

 

民間企業への国家権力を強化するフロランジュ法

これはフランス政府が2014年に制定した法律。2つの柱からなっています。

1つは大企業に対して、工場など生産拠点を閉鎖する場合は事前に売却先を探すよう義務づけたこと。

もう1つは、株式を2年以上持つ株主に、2倍の議決権を与えることです。

ちなみに、株主の3分の2が反対すればこの「2倍ルール」の適用を免れる例外規定もあります。一応。

 

これについてはフランス政府はいずれも、国内の産業を守る目的があると説明しています。

確かに1番目の工場閉鎖するときには事前に売却先を決めておけ、というのは労働者を守るという立場から理解できます。しかし2番目の王はどうでしょうか? 何かちょっと変な感じがしませんか? なんでこんなルールが必要なのでしょう。

 

実はフランスには政府が大株主の企業が多く、2倍ルールはそれらの企業の対し政府の影響力を増すことを意図しているのです。

特に仏政府や創業家が大株主の場合は、2倍ルールが適用されている企業が多い様子です。

 

そして、このフロランジュ法が制定された2014年、当時経済相だったマクロン氏は、この法律をルノーに適用させてフランス政府の影響力がルノーの中で強くなるように動いていました。というのは、先程のフロランジュ法の説明でも書いたように、この法律は"一応"株主の3分の2が反対すれば適用されないことになっていたからです。

いくら国でもそこまでは強要できず、一応企業側にも拒否権があるということですね。

 

が。

ですが。

それはそれ。これはこれ。

 

所詮建前は建前ということで、マクロン経済相は株主総会で拒否権を発動されないように、株主総会前にルノーの株を取得比率を増大させ、事実上議会でこのフロランジュ法の適用が拒否されないように仕組んだのです。当然ルノー株主総会でもフロランジュ法を適用することを可決。

フランス政府は無事それを見届けた後、増大させた分の株を売却し、元通り出資比率15%に戻した、という訳です。

 

やりますね。マクロン氏。

さすが自由の旗手ですね!

民間企業に言うことを聞かせるために政府の力で株を取得して、株主総会を取り仕切ることも自由という訳です!!

素晴らしい!! (笑)

 

そんな自由の旗手ですから、自国の会社の命運を掛けた戦いであれば相手国の首相と直談判も辞さないのは当然です。

 

さて・・・どう思われますか? みなさん。

私はこう思いますよ。

 

「自由」という言葉を自分勝手に使いすぎだわwww

自由のためと言えば何でも許されると思うなよwww

 

と。

 

そして、もう一つ言いたいこと。

それは

 

自由貿易だ」「グローバリゼーションだ」「規制緩和」などと言っても、結局それは「そうした方が自分たちに有利だから言っているに過ぎない。自分たちに都合が悪くなったら、一瞬で手のひらを返す。それが国際社会の現実だ。」

 

ということです。

私達はついつい「自由」という言葉はとにかく何でも良い物だと思いがちですが、それはその言葉のイメージ通りに清廉潔白なものとは限らない。それが現実だということを今一度肝に銘じる必要があるのではないでしょうか。

 

 

今回も最後までお読み頂きありがとうございました😆

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