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就職氷河期世代の叫び「アラフォー世代の給料が月2万円も激減」。

私は押しも押されもせぬ「アラフォー世代」。

約20年前私が就職活動をしていた頃は、かつてないほどの超就職氷河期でとてつもない苦労を経験しました。私のようなアラフォー世代にとっては、今の若者の就職活動の苦労なんて生ぬるすぎる!! と思ってしまうほどですが(ごめんなさいね)、そんなアラフォー世代の現状を示す恐ろしい数字がNHKで特集されていました。

何とアラフォー世代の人たちは、他の世代に比べ「2万円も月収が下がっている」など、今もなお不遇の扱いを受けている実態が明らかにされているのです。

今も記憶に残る悪夢のような就職活動

一部では「失われた世代」「ロスト・ジェネレーション」などと呼ばれる世代ですが、ちょうど私達の世代が就職活動をして社会に出ていこうとしていた時に、バブルが崩壊後の大不況に突入。

「倒産するなどこれっぽっちも考えられなかった大企業」が次々と倒産するような、そんな恐ろしい時代でした。

 

今のようなメールやインターネットが普及していない時代、就職活動はすべてハガキや電話で行われ、就職活動にかける時間は今の世代よりも圧倒的に掛かっていたと思います。それも自分を高めるとか、自己分析とかいった前向きな掛け方ではなく、

 

・丁寧にハガキを書く

・片っ端から電話を掛けまくる

・就職情報誌を買って読む

 

など超アナログで非生産的な時間の掛け方です。

しかも、私が就職活動をしていた頃は、まだ大学側にそのような不況&就職難の意識が全くなかったため、学校側のサポートは一切なし

歳上の先輩方はバブル真っ盛りに就職したため、むしろ「青田刈り」と呼ばれるほど企業側からこぞって高待遇を受けて、大企業に就職していたため、相談相手になるような先輩すら皆無。

 

企業側も基本的によほど優秀な人でなければ採用するつもりもないため、面接では今なら完全にアウトであろうブラック企業的なセクハラ、パワハラ面接は当たり前でした。

そのような悪夢の就職活動を経験したため、もう転職なんてしたくない! どれほど酷い扱いを受けても生活できるなら今のままで我慢した方が100倍マシ! と就職活動について、完全にトラウマになっている。

ほとんどのアラフォー世代はそのような感覚を、心の奥底に持ち続けていると考えて間違いないでしょう。

 

アラフォー世代の月収2万円減

上記のNHKのサイトに掲載されている資料によりますと、2010年と2015年の大卒者・大学院卒者の月収を比較し、世代ごとにどのような変化があったかが調査されたそうです。

その結果は

20歳から24歳では5200円アップ。

25歳から29歳では8700円アップ。

30歳から34歳では6400円アップ。

45歳から49歳では2200円アップ。

50歳から54歳にいたっては21100円もアップ。

55歳から59歳も8000円アップしていた。

どの世代も軒並み上昇…かと思いきや、なんと35歳から39歳では4300円ダウン。40歳から44歳に至っては、ひと月23300円もダウンしていた。

 

敢えて言えば「時代のせい」

当事者の自分としては、本当に「わかる!」という実感を得ています。

上の世代はバブル絶頂を謳歌して、その間に海外に行ったり、研修に行ったり、様々な資格を取ったりと色々な意味で恵まれている世代。

逆に自分たちより下の世代は、不況で恵まれない時代に入ってきた世代として「将来を背負ってもらうためにしっかりと教育しなければ」と戦力として期待された世代で、企業側からも丁寧な教育機会を与えられています。

 

しかし、その間に立たされた私達はどちらにも属せられず教育面では「完全放置」。そして、「とにかく金だけは使うなよ。」と、とにかくお金をケチることが最善であると叩き込まれた世代です。

 

NHKの特集でも言われていますが、別に私達の世代が何か悪いことをした訳ではない。むしろ、そのような逆境の中でも少しでも自分を成長させようと必死に努力した世代だと言って良いと思います。しかし、世間的にはそのような努力が認められることはほとんどなく「失われた世代」などと揶揄されるのが実情です。

 

しかし、それは別にそれは誰が悪い、という訳でもありません。

強いて言えば「生まれた時代が悪かった」と言えるでしょう。

 

時代に恵まれなかった人たちを守るのが国の役目

ですが、「生まれた時代が悪かったのだから、親を恨め。自己責任。」では事は済みません。この世代の労働人口は1,500万人と社会を担う中核的地位を占めているのです(あくまで世代交代的な意味でのタイミングですが)。

しかし、その内の380万人以上、つまり5人にひとり以上の割合が非正規雇用という不安定な生活を送っています。社会の中核がそのような不安定な雇用状態では、社会の安定化を望むことはできません。

なぜなら、所得が一部の人に偏ったりすることなく、できる限り平等に分配することで生まれる分厚い中間層の存在こそが社会の安定には不可欠だからです。このような中間層が薄い社会では、社会の格差が広がり、国民同士の信頼関係が崩壊し、国民がお互いに攻撃し合うようになります。

 

特に日本のような天災が世界でもトップクラスに多い国では、そのような格差の広がった社会は致命的な弱点となります。

 

しかし、いくらそれが事実だとしても個人や地域の民間レベルでの助け合いでは、なかなかそのような中間層を作り出すことはできません。同じ国民同士、助け合おうという気持ちだけでは、実際に生活に関わるお金まで動かすことは難しいのです。

やはりそこは課税という徴税能力によって、ある意味強制的に所得の再分配をすることが可能な国家が力を発揮しなくてはならないのです。

 

確かに、アラフォー世代がこのような不遇の存在となったのは、バブル崩壊からのデフレ不況という時代のせいと言えます。ですが、時代のせいだからと言ってそのまま放置していては国が立ち行かないのも事実です。

時代時代によって個人では乗り越えられない壁が生まれることもある。しかし、その時にはちゃんと国家がサポートをしてくれる。そのような信頼があるからこそ、私達は日々安心して過ごしていくことができるのです。それができるのは国家しかありません。

 

私達日本人は「国家」という物にどこか恐れというか、時代遅れ的なものを感じているかもしれませんが、それは間違いです。今の時代においても、いえ、今のような格差が広がった時代だからこそ国家にしかできないことがある。そのことを今一度認識すべき時が来ているのではないでしょうか。

 

私達アラフォー世代のような時代の犠牲者を二度と出してほしくない。

自分がまさにその当事者だったからこそ、心からそのように願うのです。

 

 

今回も長文を最後までお読み頂きありがとうございました😆

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