世界を救う読書

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「緊急事態宣言」という愚策と「事業規模」というごまかし

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とうとう緊急事態宣言が出される事態になってしまいました。 

世の中の空気とは敢えて全く逆のことを言いますが、はっきり言ってこんな馬鹿げた話はありません。なぜならこの宣言によって日本の経済恐慌の被害が激化する可能性が非常に高いからです。

今回はこの時点で緊急事態宣言を出すことの負の側面についてご説明いたします。

ちなみに最初に書いておきますが、私は「どんな状況でも緊急事態宣言を出すな」と主張している訳ではありません。出すタイミングと出し方によるが、今の出し方だと絶対にマズイと述べているだけですので、その点はご理解ください。

 

テレビや新聞、あるいはネットでの反応を見る限り、どうも多くの人がこの「緊急事態宣言」という言葉にばかり注目が行って、その中身のことを考えていないようです。

たとえば

「海外ではとっくに緊急事態宣言が出されているのに日本はのんびりしている。」

「政府は危機感が足りない。国民の緊張感を高めるためにも一刻も早く出すべきだ。」

「今回宣言が出される7都市以外の地域も安全という訳ではない。どの地域も緊急事態宣言を出されたと思って動くべきだ。」

とか言った意見が散見されます。

こういう意見から考えるに、どうも

国民の緊張感を高めるために緊急事態宣言を出すべき」

「(政府がのんびりしているようだから) 真剣に取り組みますという意思表示のために出すべき」

だと考えている人が多いようです。しかし、これは完全に間違っています。

 

 

すでに広く言われているところですが、そもそも緊急事態宣言を出したところで外出の禁止はできません。またイベントを自粛を強く要請することができますが禁止することはできません。したがって緊急事態宣言を出したからといって拡散がすぐに止むわけではないのです。

確かに政府が緊急事態宣言を出すと言う事の心理的インパクトがあるかもしれません。しかしそれによって失われる経済効果というのは非常に甚大なもので、これはどれだけ多く見積もっても見積もりすぎることはありません。むしろ緊急事態宣言を出したことによって、緊急事態宣言倒産に陥る企業や、緊急事態宣言失業者が出る可能性が非常に高いのです。

 

というのは、緊急事態宣言が出ていない状況であれば、企業がそれぞれの裁量に基づいて社員の出勤を止めさせることができます。その際の休業補償は政府が行います (安倍政権は全力で回避してますが…)。なぜならあくまで政府が要請をしてそれに企業がしたがっている形だからです。しかし緊急事態宣言を出してしまうと、その補填は政府が行う必要はなくなります。なぜなら「緊急事態」だからです。「国家的緊急事態なのだから、全国民を挙げて政府に協力すべし!」ということになり、政府は補填を行う必要なくなるのです。そうなるとどうなるでしょうか?

緊急事態宣言によって発生する経済的損失は、個人や企業が負担しなければならなくなるということです。大企業であればある程度の期間社員を雇い続けることができるかもしれません。しかし、そのような体力がある企業はどれだけ日本にあるでしょうか? 大半は会社が存続するために社員を切り捨てざるを得ないか、大幅に給料をカットするしかなくなるでしょう。

つまり緊急事態宣言を出すことによって、その経済的負担は逆に会社員や個人事業主に押し付けられ、むしろその経済的損害が果てしなく大きくなるのです。おそらく「緊急事態宣言を早く出せ」と言っている人たちのほとんどはそんなことは考えていません。

 

しかし、緊急事態宣言による経済的損失に対応する経済対策には、莫大な額の財政支出が必要になります。しかし、緊縮財政一本槍の財務省が天下である現在では、その額を引き出すことは不可能でしょう。それを実現するには総理大臣が財務官僚と全面対決するくらいの覚悟がなければならないのですが、これまでさまざまな政策を考えるに安倍政権にその気概はありません。消費増税によって実質GDPが年率で7%以上も下落するというとんでもない経済危機を引き起こしたにも関わらず、未だにろくな経済対策を打てていないのですから。それどころか、「この不況は消費増税のせいではない!コロナウィルスのせいだ!」と自分たちの失政をコロナウィルスのせいにしている始末です。こんな政府にまともな経済対策を打ち出せるわけがありません。

メディアでは「事業規模108兆円。かつてない経済対策!」とか言われていますが、はっきり言って無価値!!

「経済規模」なんてどうでも良い!!!真水で・・・つまり国債発行によって実際にいくらお金を注入するのかが重要なのです。

今日予定通り緊急事態宣言が出されるのであれば、それと同時に経済対策が打ち出されるはずですので、みなさんも必ずそれを確認してください。これが事業規模ではなく「国債発行額」で見てください。それが50兆円 (GDPの約1ヶ月分)を下回るようだったら、それは「政府は完全に国民を見捨てた」ということを意味します!

 

 

今回も長文を最後までお読みいただきありがとうございました。

 
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