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政治家に人柄など不要!日本人はどこまで馬鹿にされれば気が済むのか?

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ご存じの通り2020年9月17日に菅内閣が発足しました。

これを受けて早速各メディアが世論調査を行い菅内閣の支持率を発表。例えば日経新聞では、支持率74%、発足時歴代3位と報じています。

私はこの報道を耳にした時、愕然としました。

支持率の高さもそうなのですが、その一番の理由が「人柄」だそうです・・・。

人柄とは別の言葉で言えば人格、人間性ということですが、いったい日本国民のうちの何人が人柄を判断できるほど菅総理個人を直接知っているのでしょうか?

家族や友人・・・せめて同じ会社に勤めている人ならまだしも、国民の99%が政治とは無関係の世界で暮らしているにも関わらず、「人柄」で支持をするとは全く意味が不明です。そもそも世論調査でこんな項目を設定していることがおかしい。

 

図らずも15世紀に活躍した政治思想家ニコロ・マキャベッリは、その著書「君主論」の中でこう言っています。

総じて人間は、手にとって触れるよりも、目で見たことだけで判断してしまう。なぜなら、見るのは誰にでもできるが、直に触れるのは少数の人にしか許されないからだ。

(中略)

大衆はつねに、外見だけを見て、また出来事の結果で判断してしまうものだ。しかも、世の中にいるのは大衆ばかりだ。

 まったくその通りで、ぐうの音も出ません。

もちろん私も菅総理の人柄はこれっぽっちも知りません。というか興味もありません。菅総理の人柄などどうでも良いです。私の人生には何の関係もありません。

 

私はそもそも政治家に人柄の良さなどは不要と思っています。

(もちろん、人の人生を貶めるような倫理的許されない行為をすれば駄目に決まっていますが)

どれほどあくどい手段を使ったとしても、そこに「国民のために」という理想があるのであれば仕方ない。残念ながらそれが政治家というもの。再びマキャヴェッリの言葉を借りれば

慈悲深さゆえに臣下に反乱を許し国を混乱させる君主と、残酷さゆえに国の平穏を保つ君主。真に慈悲深いのはどちらかね?

マキャヴェッリ君主論講談社まんが学術文庫 P175

 

国を維持するためには、信義に反したり、慈悲に背いたり、人間味を失ったり、宗教に背く行為をも、たびたびやらねばならないことを、あなたは知っておいてほしい。

マキャヴェリ君主論」中公クラシックス P135

なのです。

では、政治家に人格が求められないなら何でもやって良いのか? ですが、それはYesでもありNoでもあります。

 

判断の基準は

「国民のため」という理念があるかどうか

です。

この場合の国民とは必ずしも今この日本で暮らしている人たちだけを指すものではありません。今の日本ができあがるまでに尽力した過去の人たち、これからの日本を担う将来の人たち、そしてその交点となる現代に生きる私たちのことです。

 

そしてもう一つ重要なのは

 国家元首が誤った時、誤ろうとした時に止める制度が整備されているか

です。

どれほど優れた人物であろうとも必ず人は誤ります。どんな状況でも100点満点の判断を下すことなどできるはずがありません。肝心なのは誤った行動を起こした時、あるいは起こそうとした時に、それを防ぐ制度がちゃんと整備されているかどうかです。

 

では、菅総理はどうなのか?

ここまでの菅総理の発言から考えるに、どちらの点においても非常に危ういとしか考えられません。その理由を2つの点から考えてみたいと思います。

 

菅総理が危うい理由① 経済政策

菅総理は総裁選挙時から中小企業の統合・再編を促す考えを示しており、「足腰を強くしないと立ち行かなくなってしまう」とも発言しています (日経新聞2020年9月15日)。


中小企業の再編とは要するに・・

中小企業の統合や再編というとボヤっとしていますが、要するに「企業体力のない中小企業は潰す、あるいは強いところに吸収させるように促す」ということです。日本には中小企業は約358万社あり、企業全体の99.7%を占めます。そのほとんどを”ふるいにかける”ということです。

中小企業を潰す、あるいは強い企業に吸収させたとして、元の企業に勤めていた人たちは果たしてまともに再就職ができるのでしょうか? これからコロナ恐慌が増す中で、そんなことは実現不可能でしょう。多くの人が確実に露頭に迷うことになります。

 

競争力強化とは価格競争強化である

また「グローバル市場における日本経済の競争力強化に政策の照準を定める。」などと言っていますが、そもそもグローバル市場における競争力とは何でしょうか?

これはズバリ”海外市場でも通用するように価格を下げる”ということです。よく「価格を下げずに付加価値を上げれば良い」などと言いますが、はっきり言って机上の空論に過ぎません。海外では日本以上に値段にはシビアです。

たとえば299ドルを1ドルでも上回ったらそもそも市場で見向きもされないなんて言うのは当たり前です。499ドルで売れる商品を作って、実際は299ドルで売れるなら話は違うかもしれませんが、319ドルくらいの付加価値のものでは299ドルの市場では見向きもされません。

特に昨今のネット通販全盛の世界では、1ドルでもターゲット価格から外れたらそもそも検索にすら引っ掛からないのですから、よほどの高付加価値商品を作らなければ話になりません。

 

競争力強化とはデフレ促進である

ですから、「グローバルで通用する競争力」というのはイコール「値下げしろ」ってことなのです。

そして、値下げをされれば当然労働者の給料は減ります。

商品の値段が下がり、労働者の給料が下がる・・・それをデフレと言うのです。

結局「グローバルで通用する競争力を高めろ」とは「デフレを促進しろ」と言っているのと同じなのです。

 

そんな中で菅総理は「最低賃金を引き上げろ」などという無茶苦茶を言っているのです。完全に支離滅裂。

もし本当に菅総理最低賃金を引き上げつつ、企業の競争力を高めたいというのであれば、その従業員への給与に関して何かしら政府が保障や補填をしなければなりません。そのための税制改革というのであれば有効でしょう。

ただ、緊縮財政を強力に推し進めたアベノミクスを継承すると言っている菅総理が、そんなことをやるとはとても想像できません。

 

したがって、今までの菅総理の発言を見る限り、現在の国民の生活水準を下げ、それに起因する形で発生する将来世代の所得減少は避けられない可能性が非常に高いです。

これの一体どこが「国民のため内閣」なのでしょうか?

悪い冗談としか思えません。

 

菅総理が危うい理由② 縦割り打破という名の権力濫用

そして、政治においてもう一つ重要なのが、先ほど書いた国家元首が誤った時、誤ろうとした時に止める制度が整備されているかです。

ところがこれについても菅総理はかなり危険は発言をしています。

自民党総裁選で優位に立つ菅義偉官房長官は13日のフジテレビ番組で、政府が政策を決めた後も反対する官僚は異動させる方針を示した。「私ども(政治家は)選挙で選ばれている。何をやるという方向を決定したのに、反対するのであれば異動してもらう」と述べた。

 何という横暴でしょうか。

たしかに政治家は国政選挙によって選ばれています。小選挙区制、比例代表制には「本当に国民の意思を代弁していると言える選挙制度か?」という疑念はありますが、まぁ一旦横に置いておきましょう。

 

しかし、政治家が国民から選ばれていると言っても、「だから政治家は間違わない」ということにはなりません。当たり前です。

国民だって間違えるし、いわゆるポピュリスト的な政治家によって扇動された国民が誤った選択をする時だってある。

だとしたら、組織としては当然誤った政策を見直し現実的な方向へ導いていく安全弁が必要になります。それにはさまざまな組織があると思いますが、官僚組織もその一つでしょう。

菅総理のみならず、小泉元総理、安倍元総理も「縦割り行政の打破」などという言葉を使いますが、「縦割り」とはそもそも何なのでしょうか? 「縦割り」と言えば何か悪いものだというイメージだけが先行していますが、この縦割りについて正確に定義している人をあまり見たことがありません。

 

縦割りとは農林水産や工業、福利厚生などさまざまな分野において専門的に扱う官僚組織のことを指しているのだと思われます。それ自体は何も悪いことではありません。ただの組織形態の名称ですから。縦割り組織=悪みたいなイメージが浸透していますが、各分野に精通する組織であるということは、その分野での問題点や今後どうすべかという課題も一番理解している人たちだということです。現在のように多種多様な問題が世界を取り巻く時勢では、そのような専門家の知見をうまく利用することが重要なはずです。

 

たしかに、組織が肥大化すれば、指揮系統が複雑になり、確認事項も増え、物事を進めるスピードが遅くなるのは事実です。それが弊害を生むことがあるのも事実でしょう。しかし、縦割りの官僚制度がうまく回っていないという問題があるとすれば、それは組織そのものの問題というよりも”運用の問題”のはずです。

どのように官僚組織を運用していくのが国民のためになるかを考えるのが政治家であって、「言うことを聞かなければ排除する」というのは、非常に稚拙な考え方であるし、権力の乱用以外の何物でもありません。

 

ましてや、「縦割り110番」などという小学生が思いついたような愚策を、これぞとばかりに喧伝するとは・・・政治家の知性もここまで堕落したかと嘆息せざるを得ません。

 

菅総理が考えていること

事細かく取り上げればきりがありませんが、ここまで見ただけでも十分でしょう。

菅総理は「国民のため」などこれっぽっちも考えていません。百歩譲って好意的に考えたとしても「国民とはだれのことか」を考えていないのでしょう。過去の日本を築いてきた国民のことも、将来日本を築いていく国民のことも考えていない。

だからコロナ恐慌でボロボロになっている現状で「将来的に消費増税もありえる」などということが言えてしまうのです。

 

それにも関わらず菅内閣の支持率74%!歴代三位!

その理由は人柄!

は~~~、何なんでしょうね一体。日本人はどうなってしまったのでしょう。

どれだけ国民を苦しめる政策を行い、権力の乱用を示唆する言葉を述べても

「東北出身で、苦労人らしいから良い人なんだろう。」

その程度で70%以上の人が支持しちゃう・・・・。

 

 

最後に、菅総理大臣やその側近が現在考えていることをズバリ言い当ててみましょう。

それは

 

日本国民はマジでチョロいwwアホばっかww

やっぱりこんなアホどもは俺たち導いてやらないと駄目だわwww

 

ということです。

 

今回も長文を最後までお読みいただきありがとうございましたm(__)m

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