世界を救う読書

ビジネス書から文芸書までさまざまな本を通して世界の見方を考えるブログ

経済ネタ

なぜ日本人は一生懸命働くのか? 山本七平「日本資本主義の精神」

「日本人は勤勉だ。」こう言われて否定する人はいない。「日本人と言えば勤勉。勤勉と言えば日本人。」であり、「社畜」「ブラック企業」という言葉がはびこるのも、この日本人の勤勉さゆえと言っても過言ではないだろう。むしろそれだけ”奉仕する心”を持つ…

アインシュタインはなぜバイオリンを弾いたのか?脳と音楽の不思議な関係

世界中の誰もが知る物理学の天才アルバート・アインシュタイン。 だが、彼がヴァイオリンの名手だったことを知る人は意外と少ない。アインシュタインはバッハやモーツァルトなどのいわゆる”クラシック音楽”を非常に好み、ヴァイオリンの演奏もかなりの技術だ…

覇権戦争からは誰も逃れられない。荒れ狂う世界を知る上で必読の書、中野剛志「変異する資本主義」。

経済産業省の現役官僚であり、評論家でもある中野剛志。 この人の放つマジックはいつも私を困らせる。 そのマジックとは、どんな本でも「タイトル」「目次」「まえがき」「あとがき」をチェックしてから買う私だが、”中野剛志”という名前が書いてあれば、自…

水村美苗著「日本語が亡びるとき」。10年を経て輝く日本語論の名著

突然だが私は古本屋巡りが大好きだ。もちろん普通の書店も好きなのだが、どうしても比較的新しい書籍に重きを置かれるため、「古いけれども、今なお重要な本」に出会い辛いのだ。私にとって古本屋はそのような書店の弱点を補うのに格好の場所であるのだが、…

デジタル化して本当に大丈夫? 堤未果 著「デジタル・ファシズム」。

前著『日本が売られる』で人気を馳せた国際ジャーナリスト、堤未果 (つつみ みか)氏。 国際ジャーナリストという肩書に相応しく、日本だけでなく海外 (特にアメリカ) の報道資料、官公資料に基づいたジャーナリスティックな著作が多い。 今回は彼女の新刊『…

しいたけ.推薦、マキャヴェッリ著「君主論」は運命に立ち向かう者への讃歌だ。

皆さんは「しいたけ.」という方をご存知だろうか?“占い師”というと聞こえは悪いかもしれないが、私個人について言えば、普段占いなどは信じない・・・正確に言えば“自分に都合が良いところだけ参考にする”スタイルだが、このしいたけ.氏の占いはそれぞれの星…

崩壊する文明の運命に立ち向かった男。ル・ボン「群衆心理」

社会心理学の歴史的名著、ギュスターヴ・ル・ボン著「群衆心理」。 この本をご存知だろうか。 この本は著者のル・ボンがフランス革命の混乱の後に書いたもの。革命の最中、民衆が”群衆”と化し、社会に破壊と殺戮の嵐を招いた激動の様子を観察し、その群衆が…

読書に成果なんか求めなくていい。著者との対話こそ真の醍醐味だ。

古今東西、読書には様々な方法がある。 その中でも最近特に言われるのが「本を読んだら、速やかにアウトプットすべし!」という方法だ。 一昔前なら読書日記をつけることが関の山だったのだが、そこはネット全盛の現代。 ブログやSNSなどで誰でも手軽に発信…

”普遍性のディズニー”と”多様性のチャップリン。あなたの心をつかむのはどっちだ?

ウォルト・ディズニーとチャーリー・チャップリン。 世界で最も有名なこの二人だが、彼らの繋がりを知る人は意外にも少ない。年齢で言えば一回りほども違うが、実は彼らは強い師弟関係で結ばれていた。 たとえばこんな話がある。 ディズニーは子供時代からチ…

自由と平等という幻想が社会を狂わせる。ジョン・ロック「市民政府論」

「国民の信任を得た」 選挙後に多数派となった政党がよくいう言葉の一つだ。 だが、この言葉にもやもやした違和感を感じる人も多いのではないだろうか。 「国民の信任を得た」と言うけれど、投票した人がみなその人に投票したわけではない。むしろ「こいつだ…

なぜオリンピックを強行開催するのか。政府の基本方針から読み解く理由。

「政治家は一体何のために仕事をしているのだろうか。」 思わずそう呟かざるを得ないほど、現代は政治家と国民の分断が拡大している。 東京オリンピックの強行開催はその象徴的出来事だ。 朝日新聞が5月に発表した世論調査によると、「中止する」と答えた人…

国民のために働きたくても働けない。「ブラック霞ヶ関」の実態

「官僚」 日本においてこれほど悪いイメージを持たれている言葉も少ないだろう。 本来なら日本を牽引するエリート集団であることを否定する人はいないだろう。その一方で多くの一般国民が抱くイメージとは 「上級国民の集まり」 「無駄に偉そう」 「税金から…

コロナ不況脱却のために何が必要か? 井上智洋「『現金給付』の経済学」

先日携帯電話の利用料金に関して、驚きのニュースが報道された。 総務省は毎年、東京やニューヨーク、ロンドン、パリ、デュッセルドルフなど世界の主要6都市で、携帯電話料金を調査しているのだが、東京での価格がロンドンに次ぐ二番目の低価格になったとい…

高橋真矢 著「資本主義から脱却せよ」。未来のために私たちが取り戻すべきものとは何か。

早速ですが今回ご紹介する本はこちら。 高橋真矢・井上智洋・松尾匡の3名による共著「資本主義から脱却せよ」。 最近、資本主義批判の本がよく出版されており、若干”流行り”のような感じがある。この本もてっきりその流れの本かと思ったものの、著者に私が好…

よい人生を送るために必要なたった一つの”輪”。ロルフ・ドベリ著「Think Clearly」。

「よい人生を送るにはどうすれば良いのか?」 「どうすればより幸せになれるのか?」 大昔からあらゆる人間が抱いてきたであろうこの疑問。 これに真っ向から、そしてわかりやすく答える世界的ベストセラーを今回はご紹介。 それがこのロルフ・ドベリ著「Thi…

J.S.ミル著「自由論」が示す”民主主義ゆえの弱さ”

社会が大きな混乱に陥ると、それまで当たり前と思われていた考え方や価値観が根本から問い直されることがある。 昨今「民主主義」が危機に瀕していると言われるが、これもまさにコロナ禍という社会的混乱によって引き起こされていると言えるだろう。 では、…

"人は成長する"という物語を捨て去ることができますか?斎藤幸平著「人新生の資本論」

私は基本的に流行り物に飛びつかないようにしています。本でも同じです。 流行っている物がすなわち良い物とは限らないと思いますし、「流行ってるから読んでみようって恥ずかしくない?」という、ある意味”中二病”的な心理も働いていることは否定できません(…

米中対立の狭間で日本に何ができるのかを問う。橋爪大三郎著「中国vs米国」。

昨年末に飛び込んで来たとあるニュースが世界を騒がせた。 中国のGDP=国内総生産の規模が2028年にはアメリカを上回って世界1位になるという予測をイギリスの民間の調査機関を発表したのだ。 もともと同機関は中国が米国を上回る時期を2023年と予測していた…

名探偵コナンが握る日本経済復活の鍵。最新作「緋色の不在証明」。

人にはそれぞれ他人には決して言えない秘密がありますよね。 私にも秘密はあります。 それは・・・ 40歳過ぎてもいまだに名探偵コナンの映画を毎年観に行っていることです!! しかも20年以上!! ドーン!! 言ってしまった・・・ついに・・・。私の恥ずか…

自由貿易とは”自由に略奪するルール”を作る歴史だった。福田邦夫「貿易の世界史」

ご存知の通り日本という国は資源が非常に少ない国です。 そんな日本にとって海外との貿易は欠かせない要素の一つ。 そして日本においては、「貿易」と言えば企業が自由に海外市場で競争できる「自由貿易」が当たり前だと思われています。 しかし、本当にそう…

コロナ対策給付金で家計の金融資産が297万円増えた!? 日銀報告書のデタラメさに呆れるしかない。

日銀や金融団体などで構成する金融広報中央委員会がまとめた「家計の金融行動に関する世論調査」によると、コロナ禍の2020年において2人以上の世帯が保有する金融資産の平均額が、2019年より297万円増えて1,436万円になったそうです。 この要因について、同…

電話で尖閣を守れると思っている夢想家集団・菅政権

米国でバイデン政権が誕生したことを受け、早速日本政府の「お慶び申し上げます」外交が始まっています。岸信夫防衛相は世界最速で新しい国務長官に電話したとかで、誇らしげに語られているようですが、その会談の内容がロクでもない…。 岸信夫防衛相は24日…

人はなぜ独裁者を欲するのか? 「独裁=悪」という思い込みこそが危険という話

2016年にアメリカ大統領に就任したトランプ氏が政権の座から終わり、バイデン新大統領による政権がスタートします。トランプ政権の評価は様々ですが、ある意味で一つの”功績”として考えても良いのは、「政治体制というものがいかに重要であるか」が、世界中…

2021大河ドラマの前に知っておきたい渋沢栄一「論語と算盤」のもう一つの読み方

渋沢栄一が「論語と算盤」で伝えたかった本当のメッセージを読み解く。これはビジネス書ではない!

相貌心理学「人は顔を見れば99%わかる」が面白い。

早速ですが、今回は会社や友人関係など、人とのコミュニケーションで悩みを抱える人必見の本をご紹介します。 その本がこちら。 佐藤ブゾン貴子著「人は顔を見れば99%わかるーフランス発・相貌心理学入門ー」です。 人は顔を見れば99%わかる フランス発・…

アフリカ化する日本の未来を止められるか?

「ダイヤモンドは永遠の輝き」 1947年に米国のデビアスダイヤモンド社が考案したキャッチコピーだ。 このキャッチコピーによってダイヤモンドはその価値を不動の物としたため、人類史上最も成功したキャッチコピーだと言われている。1999年には、米国の広告…

読めば分かる日本を覆う"空気"正体。山本七平の名著「空気の研究」

突然ですがみなさん、「名著の条件」って何だと思いますか? 「何万部突破!」といった発行部数で測るという考え方もあるかもしれませんが、 必ずしも「たくさん売れた=名著」とは言えません。ものすごくたくさん売れた訳ではないければ、時代を超えて読みつ…

政治家に人柄など不要!日本人はどこまで馬鹿にされれば気が済むのか?

ご存じの通り2020年9月17日に菅内閣が発足しました。 これを受けて早速各メディアが世論調査を行い菅内閣の支持率を発表。例えば日経新聞では、支持率74%、発足時歴代3位と報じています。 私はこの報道を耳にした時、愕然としました。 支持率の高さもそうな…

なぜ自動車の覇権争いを知れば未来がわかるのか

突然ですが、日本で環境にやさしい車と言えば、どんな車が思いつきますか? 日本で言えば、まず間違いなくプリウスに代表されるHV(ハイブリッド)車でしょう。日産リーフなど一部で電気自動車もありますが、基本的に日本で環境に優しい車とはすなわちHV。な…

自動車から見る世界の覇権競争。川口マーン恵美著「新経済戦争」。

昨今のニュースを見てつくづく思うことは「競争」「争い」「戦争」といったワードが使われることが非常に多いという環境問題、米中貿易戦争、IT関連の開発競争。 昨今のニュースを見るとこういった「争い」的なワードを必ずと言って良いほど目にします。 争…

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